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【完結済】ウソつき賢者の領地再建  作者: 秋月心文


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ラシド教って何だ?

 ラシド教団の教会の件は、確かに気になった……。

 けれど、信仰を無理やりやめさせようとすると、

 ドロ沼にハマっていく気がしたので、

 そこには手を入れないことにした。


 リキャスト音が鳴ったので、とりあえず……

 「神術は使えない」というウソをついた。

 澄んだ不思議な音が脳内に響いた。

 成功したようだ。


 これで一安心。

 ……そう思っていた。


 しかし、この判断が後日の騒動に繋がっていくことを、

 この時点では、予想すらできなかった。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 領主館のタワーマンションは部屋が空きまくっているので、

 今では、ドドソソ・ララソも住むようになった。


 タワマンには水道もエアコンも、

 温水シャワー付き水洗トイレもあるので、

 もう、他では住めないと言っていた。


 まぁ、わかる気がする。


 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


 最近、このドドソソ・ララソがモテモテだとの噂だ。


 噂の現場を覗いてみると……

 領主館に、ネコカフェのようなスペースができていた。

 フロア全部がネコだらけだ。

 ドドソソ・ララソは、そのネコたちに大モテなのだ。


「へぇ……。昔から、ネコに好かれてたん?」

「ラシド教に改宗してからだ……」

 そう言って、ドドソソさんは胸元の大きな飾りを見せた。


「へぇ」

「それからだ。ネコが寄ってくるようになったのは……」

「そうなの?」

「うむ」


 そういえば、何か気になる言葉を聞いたような。

 ……そうだ、ラシド教だ。


「ラシド教?」

「ララソ領内にあるぞ。一度寄ってみるといい」

「ちなみに代官たちは皆、改宗しとる」

「へぇ」

 俺の周りは、ラシド教の信者だらけってこと?


「皆モテモテらしい」

「なんでだよ」


 なんか、いやなワードを聞いた気がした。

 気のせいかな……。


 でも、モテるのか……。

 いいな……。


 実はネコ好きなんだよ。

 好きなんだけど……。

 なぜか相手にされないんだよな……。


 ドドソソ・ララソは、ネコたちに囲まれていた。

 いいな……。

 モテモテというより、メロメロという感じだ。

 ネコたちは、恍惚とした表情を浮かべていた。


 俺もラシド教に改宗しようかな……。

 そう思ってしまったくらい、うらやましかった。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 各代官たちから、定例の報告を受けている。

 今では、ララソ領の代官も加わったので、

 その説明と、顔つなぎも行った。


「最近、国内に、ラシド教の信者が増えています」

「実は、私も……」

 そう言って、代官は、胸元の大きな飾りを見せた。

 ドドソソさんが、身に着けていたのと同じヤツだ。

 エリナの形見のネックレスに似たデザインだ……


 飾りの素材は「ナツウメ」と呼ばれる植物で、

 茎や花を使って、作ることが定められている。

 王国にしか生えてない植物なので、材料は輸入に頼るらしい。

 しかし「教会の荷物」が襲撃されたり、

 輸送を阻害されたりする問題が起きているそうだ。


「また、盗賊団か?」

「いえ……それが……」

 何か言いにくそうだ。


「何だ? ハッキリ言ってくれ」

「犯人は、ネコたちです」

「は?」


「ネコが襲撃してきて、積み荷をかじったり舐めたり……」

「マジで?」

「はい」

「ネコが積み荷の上で粗相をしたという報告も……」

「これには、教会から強い苦情が来ています」

 うわぁ、なんか嫌な問題に発展してきそうだな。


「ネコに言ってくれ……」

「言いました」

「なんて?」

「ニャーと返されました」

 まじめにネコに聞くな!


「ネコが集まってきて、荷馬車の往来を邪魔することも……」

「う~ん……」

 大教会のご神木も同じ植物で作られているので、

 そのうち教会から何かクレームが来ることが危惧されている。


「他に、変わったことは?」

「貴族や商人、冒険者の間で、

 王国のラシド教団の大教会本部への巡礼が流行ってるそうです」

「クフィール王国に向かうには、うちの領を通過する必要がありますが、遠方からの巡礼も多く、宿泊業が儲かってるらしいです」


「なんで冒険者? 貴族や商人ならわかるけど……」

「大教会では、手足の欠損も直してしまえるそうで……」

「え?」

 思わず顔を上げた。


「そうか、冒険者は、そういうことも多いか……」

 でも、なんだろう。

 今の話、妙に嫌な気がした。

 最近、どこかで聞いた話のような……。


「まぁ、あくまでも、噂ですが……」

「へぇ……」

 嫌なキーワードをいっぱい聞いた気がした。

 でも、今のところ実害はないよな?

 大丈夫だよな……。


 それにしても、なんでネコは教会の荷物だけ?

 うちのネコたち、

 もうちょっと聞き分けがいいと思ってたんだけど……。

 わからん……。

 

 とりあえず代官を通じて、

 ネコが直接触れられないよう箱に入れることをお願いしようか……


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 代官が帰った後、ローラがボソッと言っていた。

「魔王様も昔、ご神体をかじって、怒られてましたわぁ~」

「え?」

「なんでそんなことしたんだよ」


 え? 何かそういうの流行ってるの?

 ネコだけじゃなくて、ヒトもそういうことしちゃうの?

 ご神体をかじると、ご利益があるみたいな感じ?


 まさか、うちの領のネコたちが

 魔王と繋がってるってことはないよね?


 ……ないよね?

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 次回『「ウソ」が使えなくなった』

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・・ 次回 毎日 20:00 公開 ・・

※※ 本日は、この1話のみです ※※

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