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【完結済】ウソつき賢者の領地再建  作者: 秋月心文


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40/62

全部俺のせいだった

「何だ? 何が起きている?」

「きっと旦那様が、そういう『ウソ』をついたのですわぁ~」

「え? 死人を生き返らせる『ウソ』なんてついてない」

「ホォ~ントウにぃ~?」

 そんなヤバすぎる「ウソ」などつくはずがない。


「でも、ファリス言ってた……」

「ん?」

「『川は、氾濫しない』って……」

「え?」

 代官の言葉が頭の中でフラッシュバックする。

 ……水に流された者まで……


「でも、ファリス言ってた……」

「ん?」

「『どんな病気もすぐ治る』って……」

「え?」

 代官の言葉が頭の中でフラッシュバックする。

 ……病死したはずの者まで……


「でも、ファリス言ってた……」

「ん?」

「『全ての家庭に井戸』って……」

「え?」

 そういえば……

 代官は言っていた。

 『深い穴に落ちて亡くなった……』

 まさか、あれ……そういうことだったのか。


 言った。

 いや、全部言った。

 思い返してみれば、心当たりしかない。


 俺の領地になったから、

 俺の「ウソ」が及ぶ範囲も広がったのか……。

 なんというか、全部俺のせいらしい。


 井戸については、各代官に説明……!?


 いや、違う。

 この世界の人たち、そもそも井戸を知らない。

 使い方の説明からだ……。

 いや、まず「落ちるな」からか……。


 俺は、ララソ領の代官を集めて、

 井戸の使い方と、落ちないための注意点を説明した。


「そういうことは、先に言ってもらわないと……」

 代官はボヤいていた。

 すみませんね。俺にも、想定外だったんです。


 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


「ところで、ドドソソさん。

 水害の被害はなかったことになりましたが……」

「ん……。あぁ、わしは、変な夢を見てたようだ」

「らしいですね~」

 ここは、シレっと流すしかない。


「ララソ領の放棄は変えるつもりは……」

「ないよ。だって……

 働かずに養って貰えることが決まったのに、

 それを投げ出す必要ある?」

「え?、あぁ……。そっすね」

 養うの俺だけどね……。


 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


 とはいえ、考えることはいっぱいだ。

 この流れでいくと、

 ララソ領でも『ロドスの灰』が作れるハズ。

 食糧確保は問題ないだろう。


 あとは、領軍というのを手に入れてしまったが……。

「軍隊なんて使う機会あるのか?」

 思わずボヤいてしまう。

「日本でも災害支援で活躍してましたわぁ~」

「うん、そうね……」


「それに、王国の存在を忘れてますわぁ~」

 あぁ、そうか……。

 俺は、王国と国境を接する領主になってしまったのか……。

 王国は、誤情報で攻めてくるヤツら。

 現代文明の魔王軍とも戦えるくらいだから、

 きっと謎兵器を持っているに違いない。


 はぁ……。楽はできないものだな……。


「王国軍は、どうやって魔王軍と戦ってるんだ?」

「わたくしに、聞いておりますのぉ~?」

「お前以外に、誰に聞くんだよ!」

「そうですわねぇ~」


 そう言って、ローラはケタケタと笑った。


「あいつらは、神術しんじゅつを使うのですわぁ~」


「神術? 魔法とは違うのか?」

「魔法は魔力を媒体にしますけど、

 神術は生命力を媒体にするんですわぁ~」

「は? 生命力?」

「魂とも、呼ばれてますわぁ~」


 魂を消費して術を使う……だと?


「待て、待て、待て」

「敵味方双方の魂で、魔法を発動するのですわぁ~」

「え? 術者だけでなく、相手の魂まで?」

「その通りですわぁ~」

「怖っ……」


「だから、王国軍と戦うなら、

 先手が通じなかったら、速攻撤退ですわぁ~」

「あぁ、それで瞬間移動か……」

「えぇ、それがないと、まともに戦えませんわぁ~」


 いや俺たち、そういうの持ってないんだが……


「もし、うちの軍がそれに対峙するとしたら?」

「う~ん、射程距離外に、離れるしかないですわぁ~」


「あとは、魂を使わずに動く兵器とかですわぁ~」

「ドローンみたいなヤツか、うちでは用意できそうにないな……」


 職人さんたちにお願いすれば、何か作ってもらえるだろうか?


「あとは、神術使いを殺すかですわぁ~」

「使い手は限られてるのか?」

「神官と王族、貴族くらいですわぁ~」

「いわゆる人間兵器ですわぁ~」


「ちょっと待て!

 王国がエリナを、国に連れ帰りたかったのは……」

「えぇ、王族と大神官は、

 自分の魂だけでも強い神術を使えるのですわぁ~」


 自分の魂を砲弾代わりに使う感じか?


「ホントに人間兵器だな。エリナを返さなくて、良かったよ」


 今のところ、王国に対して戦う手段はなさそうだ。


「神術は使えないって『ウソ』をつけばいいのですわぁ~?」

「ん、そういう手があるか……」

「って、お前、俺の能力、俺より詳しいんじゃ?」

「ふふ……。さぁて、何のことでしょぉ~」


 怖いから、次にリキャスト音が鳴ったら、

 その「ウソ」をついてみることにしよう。


「ところで、旧ララソ領内のラシド教団の教会は、放っておいていいのかしらぁ?」

「ラシド教の教会? あるらしいけど……」

 何か問題が?


「教会には神官がおりますわよねぇ?」

「いるだろうな……」

「神官は、神術を使えますわぁ~」

「え? つまり……」

「人間兵器がいるってことですわぁ~」

「えぇ?」


 そんな連中まで、

 自分の領地に抱え込むことになったのか――。

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 次回『ラシド教って何だ?』

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・・ 次回 毎日 20:00 公開 ・・

※※ 本日は、この1話のみです ※※

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