全部俺のせいだった
「何だ? 何が起きている?」
「きっと旦那様が、そういう『ウソ』をついたのですわぁ~」
「え? 死人を生き返らせる『ウソ』なんてついてない」
「ホォ~ントウにぃ~?」
そんなヤバすぎる「ウソ」などつくはずがない。
「でも、ファリス言ってた……」
「ん?」
「『川は、氾濫しない』って……」
「え?」
代官の言葉が頭の中でフラッシュバックする。
……水に流された者まで……
「でも、ファリス言ってた……」
「ん?」
「『どんな病気もすぐ治る』って……」
「え?」
代官の言葉が頭の中でフラッシュバックする。
……病死したはずの者まで……
「でも、ファリス言ってた……」
「ん?」
「『全ての家庭に井戸』って……」
「え?」
そういえば……
代官は言っていた。
『深い穴に落ちて亡くなった……』
まさか、あれ……そういうことだったのか。
言った。
いや、全部言った。
思い返してみれば、心当たりしかない。
俺の領地になったから、
俺の「ウソ」が及ぶ範囲も広がったのか……。
なんというか、全部俺のせいらしい。
井戸については、各代官に説明……!?
いや、違う。
この世界の人たち、そもそも井戸を知らない。
使い方の説明からだ……。
いや、まず「落ちるな」からか……。
俺は、ララソ領の代官を集めて、
井戸の使い方と、落ちないための注意点を説明した。
「そういうことは、先に言ってもらわないと……」
代官はボヤいていた。
すみませんね。俺にも、想定外だったんです。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
「ところで、ドドソソさん。
水害の被害はなかったことになりましたが……」
「ん……。あぁ、わしは、変な夢を見てたようだ」
「らしいですね~」
ここは、シレっと流すしかない。
「ララソ領の放棄は変えるつもりは……」
「ないよ。だって……
働かずに養って貰えることが決まったのに、
それを投げ出す必要ある?」
「え?、あぁ……。そっすね」
養うの俺だけどね……。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
とはいえ、考えることはいっぱいだ。
この流れでいくと、
ララソ領でも『ロドスの灰』が作れるハズ。
食糧確保は問題ないだろう。
あとは、領軍というのを手に入れてしまったが……。
「軍隊なんて使う機会あるのか?」
思わずボヤいてしまう。
「日本でも災害支援で活躍してましたわぁ~」
「うん、そうね……」
「それに、王国の存在を忘れてますわぁ~」
あぁ、そうか……。
俺は、王国と国境を接する領主になってしまったのか……。
王国は、誤情報で攻めてくるヤツら。
現代文明の魔王軍とも戦えるくらいだから、
きっと謎兵器を持っているに違いない。
はぁ……。楽はできないものだな……。
「王国軍は、どうやって魔王軍と戦ってるんだ?」
「わたくしに、聞いておりますのぉ~?」
「お前以外に、誰に聞くんだよ!」
「そうですわねぇ~」
そう言って、ローラはケタケタと笑った。
「あいつらは、神術を使うのですわぁ~」
「神術? 魔法とは違うのか?」
「魔法は魔力を媒体にしますけど、
神術は生命力を媒体にするんですわぁ~」
「は? 生命力?」
「魂とも、呼ばれてますわぁ~」
魂を消費して術を使う……だと?
「待て、待て、待て」
「敵味方双方の魂で、魔法を発動するのですわぁ~」
「え? 術者だけでなく、相手の魂まで?」
「その通りですわぁ~」
「怖っ……」
「だから、王国軍と戦うなら、
先手が通じなかったら、速攻撤退ですわぁ~」
「あぁ、それで瞬間移動か……」
「えぇ、それがないと、まともに戦えませんわぁ~」
いや俺たち、そういうの持ってないんだが……
「もし、うちの軍がそれに対峙するとしたら?」
「う~ん、射程距離外に、離れるしかないですわぁ~」
「あとは、魂を使わずに動く兵器とかですわぁ~」
「ドローンみたいなヤツか、うちでは用意できそうにないな……」
職人さんたちにお願いすれば、何か作ってもらえるだろうか?
「あとは、神術使いを殺すかですわぁ~」
「使い手は限られてるのか?」
「神官と王族、貴族くらいですわぁ~」
「いわゆる人間兵器ですわぁ~」
「ちょっと待て!
王国がエリナを、国に連れ帰りたかったのは……」
「えぇ、王族と大神官は、
自分の魂だけでも強い神術を使えるのですわぁ~」
自分の魂を砲弾代わりに使う感じか?
「ホントに人間兵器だな。エリナを返さなくて、良かったよ」
今のところ、王国に対して戦う手段はなさそうだ。
「神術は使えないって『ウソ』をつけばいいのですわぁ~?」
「ん、そういう手があるか……」
「って、お前、俺の能力、俺より詳しいんじゃ?」
「ふふ……。さぁて、何のことでしょぉ~」
怖いから、次にリキャスト音が鳴ったら、
その「ウソ」をついてみることにしよう。
「ところで、旧ララソ領内のラシド教団の教会は、放っておいていいのかしらぁ?」
「ラシド教の教会? あるらしいけど……」
何か問題が?
「教会には神官がおりますわよねぇ?」
「いるだろうな……」
「神官は、神術を使えますわぁ~」
「え? つまり……」
「人間兵器がいるってことですわぁ~」
「えぇ?」
そんな連中まで、
自分の領地に抱え込むことになったのか――。
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次回『ラシド教って何だ?』
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・・ 次回 毎日 20:00 公開 ・・
※※ 本日は、この1話のみです ※※
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