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【完結済】ウソつき賢者の領地再建  作者: 秋月心文


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38/62

勇者の正体

「ファリス・ロドスですわぁ~」

 それ、俺じゃん?


「俺が『勇者』なの?」

 それなら少なくとも、俺が魔王軍と戦うことはない。

 俺には現代技術の魔王領と敵対する意思なんてないからだ。


「いいえ!」

「元ファリス・ロドスですわぁ~」

「え? ちょっと待て!」


 ウルス(これまでの俺)の体に入った元ファリス・ロドスの魂が、生きてるってこと?


「その通りですわぁ~」

 相変わらずシレっとこちらの心を読みやがる。

 そうか、勇者は手足を欠損していると言っていたな。

 確かにウルスの体は、手足を欠損したままだった。

 いかに『勇者』といえども、その状態で魔王とは戦えないか……。


「『勇者』だったのは元ファリス・ロドスの……魂?」


「正解ですわぁ~」

「『勇者』は魂に刻まれるものですわぁ~」

 そういうことか。


「あなたの《フェイク》と同じようなものですわぁ~」

「う……」

 こいつ、どこまで知ってるんだ。


「あいつは『勇者』だって知ってるの?」

「まだ知らないみたいですわぁ~」

「魔王より旦那様を倒すことばかり考えてるみたいですわぁ~」

 なんて迷惑な話だ……。


 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


「あいつは今、どこにいるんだ?」

「銀色の髪の少女の家ですわぁ~」


 レスタか……。

 俺が去った後も、回復魔法をかけてたもんな。


「いろいろ試してるみたいですわぁ~」


「どこかの大教会に連れていったりぃ~」

 高位の回復魔法に期待もするだろうな……。


「特殊な薬草のクスリを試してみたりぃ~」

 まぁいろいろ試すだろうな。あいつなら。


「天井から吊るしてみるなんてこともしてましたわぁ~」

「なんで?」

「血行が良くなれば治ると思ったらしいですわぁ~」

「アホか!」

 でもレスタならやりそうだ。

 あいつはそういうヤツだった。


 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


「そういえば……」

「ん?」


「エリナさんのエリクサー、

 そいつのところへ届いてましたわぁ~」

「えぇ?」

「もしかして、手足生えたの?

 復活しちゃったの? 俺みたいに?」

 そうなってると怖い。とても怖い。


「いえ、な~んにも起きませんでしたわぁ~」

「そうなの?」

「えぇ、何にも……」


「ニセモノをつかまされたって怒ってましたわぁ~」

「ホンモノですのにねぇ~」

「絶対、殺すとか言ってましたわぁ~」

「誰を?」

「もちろん、旦那様をですわぁ~」

 ローラは、ケタケタと笑った。


 そんな時、執事が静かにやって来た。

「領主様、こんなものが届いております」

 一通の手紙を差し出した。

 この封筒は王命専用のものだ。

 嫌な気しかしない。

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・・ 次回 毎日 20:00 公開 ・・

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