勇者の正体
「ファリス・ロドスですわぁ~」
それ、俺じゃん?
「俺が『勇者』なの?」
それなら少なくとも、俺が魔王軍と戦うことはない。
俺には現代技術の魔王領と敵対する意思なんてないからだ。
「いいえ!」
「元ファリス・ロドスですわぁ~」
「え? ちょっと待て!」
ウルス(これまでの俺)の体に入った元ファリス・ロドスの魂が、生きてるってこと?
「その通りですわぁ~」
相変わらずシレっとこちらの心を読みやがる。
そうか、勇者は手足を欠損していると言っていたな。
確かにウルスの体は、手足を欠損したままだった。
いかに『勇者』といえども、その状態で魔王とは戦えないか……。
「『勇者』だったのは元ファリス・ロドスの……魂?」
「正解ですわぁ~」
「『勇者』は魂に刻まれるものですわぁ~」
そういうことか。
「あなたの《フェイク》と同じようなものですわぁ~」
「う……」
こいつ、どこまで知ってるんだ。
「あいつは『勇者』だって知ってるの?」
「まだ知らないみたいですわぁ~」
「魔王より旦那様を倒すことばかり考えてるみたいですわぁ~」
なんて迷惑な話だ……。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
「あいつは今、どこにいるんだ?」
「銀色の髪の少女の家ですわぁ~」
レスタか……。
俺が去った後も、回復魔法をかけてたもんな。
「いろいろ試してるみたいですわぁ~」
「どこかの大教会に連れていったりぃ~」
高位の回復魔法に期待もするだろうな……。
「特殊な薬草のクスリを試してみたりぃ~」
まぁいろいろ試すだろうな。あいつなら。
「天井から吊るしてみるなんてこともしてましたわぁ~」
「なんで?」
「血行が良くなれば治ると思ったらしいですわぁ~」
「アホか!」
でもレスタならやりそうだ。
あいつはそういうヤツだった。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
「そういえば……」
「ん?」
「エリナさんのエリクサー、
そいつのところへ届いてましたわぁ~」
「えぇ?」
「もしかして、手足生えたの?
復活しちゃったの? 俺みたいに?」
そうなってると怖い。とても怖い。
「いえ、な~んにも起きませんでしたわぁ~」
「そうなの?」
「えぇ、何にも……」
「ニセモノをつかまされたって怒ってましたわぁ~」
「ホンモノですのにねぇ~」
「絶対、殺すとか言ってましたわぁ~」
「誰を?」
「もちろん、旦那様をですわぁ~」
ローラは、ケタケタと笑った。
そんな時、執事が静かにやって来た。
「領主様、こんなものが届いております」
一通の手紙を差し出した。
この封筒は王命専用のものだ。
嫌な気しかしない。
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・・ 次回 毎日 20:00 公開 ・・
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