500年も人を殺してますわぁ~
実際に粛清されたのは親衛隊の40人だ。
屋敷からは、遺体が運び出された。
だが、領民は正確な事情も人数も知らない。
情報だけが曖昧に伝わり、独り歩きした。
結局「ファリスが屋敷で大量粛清した」という噂だけが広まっていた。
町に出ると、とてもドン引きされるようになった。
少し前まで嫌われているだけだったのが、
今では完全に恐れの対象に変わっている。
もしかすると、変な二つ名がまた増えてるかもしれない。
店によっては俺の顔を見る途端、店を閉めてしまうほどだ……。
道行く家族は、
俺の顔を見せないように子供を抱きしめる。
「見ちゃいけません……」
子供にささやく声が聞こえてるんだが?
「はぁ……」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
少し前まで、
特殊な小道具が必要な時、
青いネコ型ロボットにお願いするノリで……
「職人さん、お願い~」
……という流れで良かったのだが……
ローラが来てからというもの、すべてがバグりすぎだ。
でも、俺はローラのとんでもグッズを使えない。
さらに、ローラは俺の言うことは聞かない。
加えて、ローラは命を軽く考えすぎてる。
ホントに、同じ日本出身なのか……?
そう考えてると、目の前にローラが現れた。
「急に音もなく出て来るな!!」
「500年も経てば、人は変わりますわぁ~」
「は?」
「わたくし、これでも長命種ですわぁ~」
「500年……」
ってことは、バb…
「その先を考えたら、締めますわよぉ~」
首に手を当てる。
そっと、それでいて容赦なく首に力を込める。
いつでもトドメを刺せるように。
ゴクリッ……。
殺せないとわかってるけど、苦しいのは避けられない。
俺は降参を示す意味で、両手をあげる。
「よろしい……」
「わたくし、魔王軍の所属なので、
もう500年も、人を殺してるのですわぁ~」
ローラは昔話をするような口調だった。
「え?」
「向こうが攻めて来るんですもの。
もう何百年も……。
だから当然ですわぁ~。
そう思いますよねぇ~?」
「……そうなのか?」
「なので今さら、
日本のような倫理観を期待されても……ねぇ~?」
納得はした。
だが、気持ちは追いつかなかった。
「いや、だからって40人はやりすぎだろ……」
……とはいえ、
このときの俺はまだ知らなかった。
ローラが魔王軍でどういう立場だったのかを。
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※※ 次回 7/06 21:00 公開 ※※
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