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【完結済】ウソつき賢者の領地再建 続編を新作として準備中  作者: 秋月心文


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エリクサーだったらしい

 レイノルドと戦後処理の話し合いをすることにした。


 誤情報で攻めて来たせいで、こちらにも衛兵の死亡や欠損などの被害が出ている。

 最後にエリナを狙って来たことも含めて抗議し、合わせて賠償請求をした。

 俺も痛い思いしたし、慰謝料請求は当然だよね。


 本来なら国家間の問題にすべきなのだが、被害もさほど大きくないため、示談で決着とした。


 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


 エリナを国へ連れ帰りたいと言われた。

 けれど――

「そんな危ないところに、うちの子はやれません」

 ……とお断りした。

「うちの子……?」とレイノルドが変な顔したが……

「俺にとっては、この子はもう家族だ」


「姫様は王国に必要なお方です」

「エリナが幸せになるならともかく、危ないとわかってるところにはやれません」

 レイノルドは、否定できなかった。


「いや、そうは言っても……」

「ダメです」

「それでも」

「絶対にダメです」


 一応、本人にも聞いた。

「エリナは行きたい?」

「行きたくない……」

「ほらね、ほらぁ……」

「そうか、ならば、仕方ない。

 姫様本人がそう仰るなら仕方ありません」

「え? 俺の意思は?」


 まぁいいか、これにて一件落着だ。


 ◇ ◇ ◇ 翌日、領主館 ◇ ◇ ◇


 レイノルドたちが帰り、一応の平和が訪れた。

 俺は領主館――もといタワマンでくつろいでいる。

 このソファ、最高では?

 フロアは広いのだけど、なぜかエリナは俺のひざの上に乗っている。


「昨日は、ありがとな……」

 俺はエリナの頭を優しくなでた。

「でも、あんな危ないことは、もう勘弁な……」

「それは、こっちのせりふ」

「う……」

「おたがいさま……」


 俺は、話題を変えることにした。

「そういえば、何だ、あのポーションは?」

「我が家の秘伝!」

「すごい効き目だったな……」

「そうでしょ、褒めて」

「あぁ、えらいぞ。エリナ」

 もう一度、頭をなでた。


「あんなに効くとは思わなかったけど……」

「え? そうなの?」

「私の身近で腕もげた人は初めて……」


「こんなにスゴイなら、お母さんにも使ってあげたら良かったのに……」

「使った。全部……。なくなった……」

「………」


「お母さんを助けたくて、全部使った……」

「作れなかったの」

「うん、薬草の種しか持ってなかったし……」


「それに……」

「それに?」

「収穫まで15年かかるの」

 おぉぅ!? あの灰か……。

 15年かかる薬草も一瞬で収穫できるのか、すごいな灰……。


 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


 執事がやって来た。

「冒険者ギルドから、

 先日領主様がお飲みになったクスリを分けてほしいと依頼が来ています」

「どうする?」

 エリナの顔を見た。

「いいよ、まだあるし……。まだ作れるし……」

「じゃあ、2個ほど譲ってあげようか」

「うん」

 エリナは2つほどビンを寄こした。

 俺はそれを執事に渡した。


 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


「あ~ら、旦那様って、ロリコンだったのですねぇ~?」

「いや。違うし……」


「ファリスは、エリナの虜」

「いや。違うし……」

「違うの?」

「いや、嫌いじゃないけど、そういう意味じゃない」

 幼女に欲情する趣味はないぞ。


「ファリスは、優しい……」

 エリナは話題を変えた。


「わたくしには、優しくありませんですわぁ~」

「それは、だって……ねぇ」

「おまえ、うさんくさい」

 エリナの援護射撃。

「ひ~どい、ですわぁ~」


「ところで、いつの間に作ったんですのぉ~?」

「何を?」

「エリクサーですわぁ~」

「エリクサー? 何それ!」


 エリナもファリスも、前生ではゲームやアニメに疎かった。


「ふつうのポーションは、腕なんて生えないものですわぁ~」

「そうなの?」

「知らない」


「よくわかんないけど、エリナの家の秘伝らしいよ」

「まぁ、すっごいですわぁ~」

 こいつと話するのは、ホントにつかれる。

 ですわぁ~が、頭にこだまする。


 ◇ ◇ ◇ 数日後 ◇ ◇ ◇


 ギルドから、例のポーションを受け取り、家路に急ぐ少女がいた。


「手に入った?」

 家に入る途端、別な少女が出迎える。


「うん、だけど……」

「どうしたの?」

「タダでいいって」

「タダ? あの強欲のファリスが……」

 領主の二つ名が、また増えていた。


「まぁ、いいわ……」

 2人は家の奥に向かった。


 ひとりの男がベッドに寝かされていた。

 手足が欠損していた。

 少女たちは、その男の体を起こす。


「飲んで……」

 口にポーションを流し込んだ。

 2人は、反応を待った。


 数分待った。


 数十分待った。


 奇跡は、何も起きなかった。

 手も、足も、生えてこなかった。

「どうして?」

「ニセモノを掴まされたのかしら……」

「ありえるわね。ファリスだもの」


 ◇ ◇ ◇ 某所 ◇ ◇ ◇


 その様子を視ている者がいた。

「あら、こいつまだ生きましたわぁ~」


 しばらく眺める。

「ふぅん……」

「エリクサーでも治らないのねぇ~」

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・・ 次回 毎日 20:00 公開 ・・

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