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【完結済】ウソつき賢者の領地再建 続編を新作として準備中  作者: 秋月心文


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32/62

狙われていたのは

――全軍撤退!!――

 指揮官は慌てて指示を飛ばした。


――全軍撤退!!――

 敵軍がざわついた。

 だが、この場で一番の上官に命じられては、従うしかない。


――全軍撤退!!――

「お、おい、待ってくれ……」

 冒険者たちが慌てた。

 これでは依頼が達成できない。


「すまない。依頼はこれで達成ということにしてくれ。

 冒険者の皆さんも撤退してほしい」

 そう言って依頼完了のサインをした。

 あれがあれば依頼は達成扱いだ。

 報酬も出る以上、冒険者たちも従うしかない。

 冒険者たちは撤退していった。


「どういうこと?」

 エリナは首を傾げた。

「すまなかった」

 指揮官は俺に頭を下げた。

 んん? どゆこと?


「私の名はレイノルド・チャールズ。

 クフィール王国で全軍司令官を任されている」

「うん」

「今回は、ファリス・ロドス殿の殺害が目的でした」

 本人の前で、それを言うか?


「理由は、我が国の姫エリナ・レイ・クフィール様を、

 誘拐・殺害した罪……と聞かされておりました」

「え?」

「ですが姫様はこうして生きておられます」

「それどころか、ファリス殿に恩義を感じているご様子……」


「ですので、今回の作戦は誤情報によるものと思い、撤退を指示しました」

「え~と、どうやって姫様だと分かったの?」

「ネックレスの飾りが王家の証です」

 あの形見って言ってたヤツか……。

 領都の商人がエリナの胸元を見て態度変えてたの……

 気のせいじゃなく、この王家の証に反応してたのか。


「え?」

 丘の上。

 森の影。

 崩れた家屋の屋根。

 何かが光った。


 とっさに俺は、エリナとその光の間へ飛び込んだ。


 ザクッ……

 ドシュッ……

 ザク、ザクッ……

 矢が何本も突き刺さった。


 しかも、狙いはエリナだった。

 攻撃が通るということは、王国軍じゃないな……。

 どこかの私兵か? それとも冒険者か?


 それに気づいたレイノルドが、投げナイフを放つ。

 矢を放った複数の相手が、素早い動きで刺殺された。

 全員、額に一撃だった。

 それで仕留めるとは、恐ろしい。


「ホントに俺が狙いだったの?」

「本当だ」

「でも今、エリナを狙ったぞ?」

 レイノルドの表情が曇った。


「今回の命令を出したのは誰だ?」

「第1王子殿下だ」

「エリナは、その人より王位継承権が上なのか」

「あぁ……」


 マジか……

 つまり――

 エリナを殺したい奴が、

 クフィール王国の中にいる。

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※※ 次回 7/04 21:00 公開 ※※

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