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【完結済】ウソつき賢者の領地再建 続編を新作として準備中  作者: 秋月心文


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31/62

全軍撤退

「殺さないで!!」

 エリナが両手を広げ、俺と冒険者の間に立った。


 いつの間に、こんな場所まで?

 後ろには、うちの馬車と執事の姿が見えた。

 おまえか! エリナを連れて来たのは……。


「ダメ……だ。ここ……に……いたら、危ない」

 やばい、なんかまともに話せない。


 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


 冒険者は突然の幼女の登場に戸惑っているようだ。

 冒険者がトドメを刺せないのを見かねて、敵の指揮官が前へ出てきた。


 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


 エリナは俺の体を小さな両手で支えた。

 この前のエナジードリンクを俺の口元へ差し出した。

「飲んで……」


 ゴクゴク……

 切られたところが熱い。

 失ったはずの右腕が、音もなく再生していく。


 ゴクゴク……

 切られたところから、肉が盛り上がり始める。

 骨と肉が指先まで伸び、形を作っていく。


 ゴクゴク……

 指が生え、爪まで生えそろっていく。

 数秒後には、そこに元通りの腕があった。


 奇跡としか呼べない光景だった。

 周りの大人も、冒険者も、俺自身も――

 何が起きたのか理解できず、固まってしまった。


 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


 その間にも、王国軍は間近まで迫っていた。


 指揮官らしき男が、やさしく諭した。

「お嬢ちゃん。そこをどいてくれないか。

 おじさんたちは、この悪者を殺さないといけないんだ」


「ファリスは悪者じゃない!!」

 そう言って、エリナは指揮官の前に立ちふさがった。

 胸元で、形見のネックレスが揺れる。

 指揮官の視線が、そのネックレスに釘付けになった。

「まさか……」


――全軍撤退!!――

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・・ 次回 毎日 20:00 公開 ・・

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