助けて
――助けて――
隣領の領主ドドソソ・ララソから、救援要請の書面が来た。
しかし、語彙が少なすぎだろ。
あ、字を勉強中なんだっけ?
「どう思う?」と代官に聞く。
「ララソ領は、
隣国クフィール王国に接しています。
そこが攻めてきているのでは?」
「やばいじゃん、次はうちってこと?」
「クフィールが相手なら、
俺たちは戦えませんよ。
同胞なんで……」
エリナ親衛隊(元盗賊団)の隊長が言います。
「俺たちに弓は引かないでね」
「あ……はい」
「とりあえず、情報が必要か」
「情報収集だけお願いしていい?」
「はい」
親衛隊は、行動を開始した。
「じゃぁ、行きましょうか、旦那さま」
そう言って、縦ロールさんが白い翼を出しました。
「え? おまえ飛べるの?」
「はい、飛べますわぁ」
縦ロールさん、人じゃないじゃん。ビックリだわ。
「さぁ、行きますわよぉ」
そう言って、会議室にあるベランダから飛び出した。
ここは、領主館もといタワーマンションの12階だ。
今は、そこに会議室がある。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
飛べるのはありがたい。
そこだけは感謝だな。
そこだけは。
俺は、探索魔法で、ララソ領の状況を確認した。
あちらこちらに穴が開いている。
砲弾の跡だろうか? 酷いな、ボコボコだ。
流通網もかなり寸断されてるようだ。
人をあまり見かけない。
山も木々の伐採が酷く、崩落している場所も多い。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
やがて、状況が見えてきた。
人は高台に集中し、平野部には、誰もいない。
避難したのか?
まずは、そこで話を聞くことにした。
あ、しまった。常識人を連れてくるのを忘れた。
俺は嫌われてるから、話を聞けない。
縦ロールさんは、期待するだけ無駄な気がする。
「どうされました?」
村民が、話しかけてくれた。
「こちらの領主から、救援要請をもらったのだが……」
「あぁ……、アレですね」
少し遠い目をしている。
「たぶん、平野部のどこかにおられると思います」
「そうか、ありがとう」
「えぇ、お気をつけて……」
「ところで、何でこんなところに?」
「水害で被害起きなかったの、ここだけなんで……」
「なるほど……」
「領主様も色々やってはいるんですがねぇ」
「色々?」
「まぁ、そのうち分かりますよ」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
平野部を中心にもう1度、捜索を開始する。
念のため、国境部分に向かう。
国境が近づくにつれ、
砲弾の跡?が増えてきた。
その中に、足が生えている場所があった。
なんかの映画のワンシーンのようだ。
埋まっているのだろう。
救出を試みた。
領主ドドソソ・ララソだった。
「ありがとう、助かった」
「あれ?」
「砲撃されたのか?」
「いや、落とし穴を作ってたんだ」
もしかして、救援って?
「そしたら、落ちて出れなくなったんだ」
そっちかぁ……。
ドドソソは、伝書鳩魔法を使えて、どこからでもメッセージを送れるらしい。
「困った時は、落とし穴様に頼るしかないだろう」
なんか、訳のわからないこと言っています。
「来る途中に、たくさんの穴を、見かけたんだが……」
「あぁ、いいだろ……。あれ全部、うちで作ったんだ」
「は?」
「道路にも穴開いてたけど……」
「落とし穴は、人を落とす為のものだろう?」
「は?」
「人の通らないとこに、穴掘ってどうするんだよ」
「は?」
「はぁ、全く……」
「そんなにおかしいか?」
「隣国が攻めて来たのかと思ったじゃないか」
「攻めて来てるぞ」
「え?」
「だから、国境沿いの穴を増やしてたんだ」
落とし穴信仰は、ハンパじゃないらしい。
確かに、隣国は、動き出していた。
落とし穴に足を取られ、進軍速度は異様に遅いが、前進していた。
ドドソソを村人に預け、
俺は急ぎ自領に戻った。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「おかえりなさい、領主様」
代官がまだ待ってくれていた。
「すまんね。会議中に抜け出して……」
「……で、どうでした?」
「ゆっくりだが、進軍中だ」
親衛隊の人たちも戻っていた。
「第1騎士団1425人、第2騎士団996人が進軍中です」
「目標は、わかるか?」
「ええと……」
次の言葉をためらっている。
「いいから、ハッキリ言ってくれ」
「ファリス・ロドス様のお命です」
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・・ 次回 毎日 20:00 公開 ・・
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