婚約者ですわぁ
「ホ~ホッホッ、やっと会えましたわね。ファリス・ロドス」
小柄な体に不似合いなほど長すぎる金髪縦ロールの少女が、目の前にいる。
見た目はまぁきれいだけど……。
なんというか、ものすごくうさん臭い。
「え~と、誰?」
「いやですわ。あなたの婚約者、ローラ・タルテですわぁ~」
ローラ・タルテ……
ローラタ……
うん、縦ロールさんで覚えよう。
「婚約者ぁ?」
「親同士の話で決まった婚約者ですわぁ~」
おいおい、マジかぁ……。
領主の両親は、すでにどっちも他界していて確認のしようがない。
「それで、わたくしの部屋は、どちらかしら……」
「おい、ちょっ……」
「それにしても、ず~いぶん小さなお屋敷ですわぁ~」
好き勝手、言いやがる。
「あら、部屋が全部埋まってますわぁ~」
3人で住むつもりだったしね……。
「何で、わたくしの部屋がないのかしらぁ~?」
知るか……。
「おかしいですわぁ~! おかしいですわぁ~!!」
おかしいのは、おまえだ!
「うちは、使用人、ひとりしかいないので……ね」
頭に#マークが浮かんできそうです。
いや、もう3つくらい浮かんでるかも。
「それなら、勝手に増やしますわぁ~」
そう言って、彼女は謎めいた操作をした。
ポン!
そんな音がした気がした。
屋敷が15階建てになっていた。
奴隷館、もとい職人工房より、高層になってる。
「わたくしが最上階と、次の階を使いますわぁ~」
俺は唖然としていた。
どゆこと?
「後は、好きに使うといいですわぁ~」
鍵束を渡してきた。
「オートロック付なので、締め出し注意ですわぁ~」
オートロックって……。
なんでタワーマンション?
なんで現代風なの?
中世らしさが皆無になった。
「えーと、もしかして、前生が日本人だったり?」
「も~ちろん、ですわぁ~」
はぁぁぁ? 転生者ですとぉ?
こんな話をしていると、エリナが服の裾を引っ張ってきました。
「ねぇ、ホントなの?」
「いや、親同士が決めた話らしいし、
うちの両親、もういないし……」
「そっちじゃなくて……」
え? どっち?
「もしかして、エリナも前生日本人?」
「うん」
えぇ?
「ところで、15階まで階段で上るのはしんどくない?」
「もちろん、エレベーターがついてますわぁ~」
「えぇぇぇ!?」
「電源は太陽光パネルと蓄電池ですわぁ~」
中世らしさは、どこへ……。
案の定、職人さんたちが全員、
もの珍しそうに集まってきました。
「何だこりゃ……」
「こんな構造、初めてだ。どうなってんだ……」
「ドアが勝手に開いたぞ……」
何だか、大騒ぎになってきました。
「今日から、よろしくお願いしますね。旦那さま」
「違うからな!?」
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※※ 次回 7/02 21:00 公開 ※※
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