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ウソつき賢者の領地再建 ―クスッと笑える!?、勘違い領主コメディ(復讐から始まったはずなのに……)―  作者: 秋月心文


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2/7

かわいいからね(改訂版)

第1話の構成を入れ替えたので、必然的に、第2話にも修正が生じました。

既に読んで下さった方、すみません。

「まかせて!」


 大柄の少女が狙いを定めた。


 息を止め、矢を放つ。

 長い赤髪が揺れる。

 

 ザクッ……。


 相手の額に矢が食い込んだ。


 この魔物は、イーゼルボア。


 風の防御魔法に覆われ、こちらの攻撃が通らない。

 突進力がハンパない。


 でも、矢は頭を「貫通」していた。


 少女は俺の幼馴染、ライナ。

 彼女のスキル《必中》は、必ず当たる。


 どんな防御魔法も、どんな硬い骨も貫いてしまう。

 かなりチートな能力だ。


 昔からそうだ。

 ライナが外したところを、俺は見たことがない。



「今日の依頼は、これだけでいいんだっけ?」


「うん」


 俺はイーゼルボアの足を棒に縛り、担げるようにした。


 俺にできるのは、それくらいだ。

 俺には戦闘能力などないのだから。



 町に帰る途中、もう1人の相棒に会う。


 小柄な回復魔術師のレスタだ。


 小さい体とは裏腹に、スキル《剛力》で大人でも敵わない腕力を生み出す。

 だから素手で無茶な狩り方をする。


 刃物のようにギラリと鋭く光る銀色の髪が、ちょっと恐ろしい。



「今日は、あんまり取れなかった」


 男のような低い声でそう言う。


 片手にウサギを5羽も抱えている。

 どこがだ。

 

 よく見ると、大小さまざまだ。

 巣ごとつぶしたらしい。


 この前なんてイノシシを殴り飛ばしていた。


 ちょっと意味わかんない。


「ほい!」


 レスタがウサギを渡してくる。

 持てと……!?


「うが……」


「なんだこれ、むちゃくちゃ重いぞ……」


 レスタが片手で軽そうに持っていたウサギは、とても重かった。

 手をぷるぷるさせながら、両手で持つのがやっとだ。


「こんなの運んでたら、日が暮れちゃうよ」


「まぁ、か弱い女性に持たせようとするのね?」


「どこがだ」


「失礼ね」


「さっき、ウサギの巣ごとつぶしてただろ」


「細かいことは気にしないの」


「勘弁してくれ……」


 このやり取りを見て、ライナがけらけらと笑っていた。


「冗談よ」


 レスタは俺が抱えていたウサギを片手でひょいと持ち上げた。

 やっぱり、この怪力おかしいだろ。


「ウルスは、いじりがいあるからね」


「うん。ウルスは、かわいいからね」


 ちくしょう……。

 そう言われたら、言い返せないじゃないか。



 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 俺たち3人は村に帰った。



 村は重税で苦しんでいたので、

 こういう食糧確保は、とても歓迎された。


 あまりにも税が酷く、

 一昨年は隣の家の子供が売りに出された。


 今、この村に残ってる子供は俺たち3人だけだ。


 俺たちも、いつそうなるかわからない。


 でも、そうならない限り、俺たちはいつも一緒だ。 


 歳は違うけど、俺たちは欠かせない相棒なのだ。


 この時の俺は、この2人と別れる日が来るなんて思ってもいなかった。


 ◇ ◇ ◇ 翌日 ◇ ◇ ◇


 村人たちが妙に静まりかえっていた。


 昨日までとは違う。

 妙な「重さ」を感じる静けさだった。


 何だか嫌な予感がして、様子を見に行くと――


「キサマが、ウルスだな!」

 お読みいただき、ありがとうございます!


 少しでも続きが気になったら、

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