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ウソつき賢者の領地再建 ―クスッと笑える!?、勘違い領主コメディ(復讐から始まったはずなのに……)―  作者: 秋月心文


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15/27

父親は工房にいました 

 今日も昨日に続いて裁判をやることになりました。

 それも面倒な案件です。


――裁判3:私の子供――


 母親を名乗るE、F、Gの3人と、子供Hの裁判です。


 3人とも、自分の子だと言い張ります。


 しかし、子供Hは誰にも似ていません。


 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


 母親Eは、自分が産んだ子だと言いました。


 証拠は、背中にある傷です。


「私が付けた傷だから、私の爪の位置と一致するはずだ」


 なんだか怖いことを言いやがる。


 本当だったとしても、この母親には渡したくありません。


 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


 母親Fは、この子は自分が買った子だと言いました。


 買い取り証明書も持っています。


 けれど、証明書に書かれた人物と子供の容姿が一致しません。


 証明書には金髪と書かれているのに、その子は黒髪です。


 さらに、ポケットからは子供を売った証書まで出てきました。


 どうやら人身売買をしているようです。


 この人、字が読めないらしい。


 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


 母親Gは、この子は親友の子だと言います。


 一番まともな気がする。


 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


 子供Hにも聞いてみた。


「おまえの親は誰だ?

 それとも、誰のところへ行きたい?」


 子供はシレッと言いました。


「3人とも親じゃない。

 ボクは、ご飯を食べさせてくれるところならどこでもいい。

 一番高く買ってくれる人のところがいい」


 ……何を言ってるんだ、こいつは。


 いや、おまえは牛か。


 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


 子供に聞く話ではない気もしたが、エリナなら何か気付いているかもしれない。


 エリナにこっそり聞いてみた。


「全員ウソだと思う」


「どうしてそう思う?」


「昨日、市場で別の女の人と一緒だった」


「私たちを見ながら、何か相談してた」


 一旦、この件は保留にする。


 もう少し調べる必要があると感じたからだ。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 まずは、その女性を探すことにした。


 俺は顔を覚えていないので、昨日のように鳥は使えない。


 エリナと歩いて探す。


 ……というか、裁判を保留にしたあと、その子を尾行していた。


「あの人」


 エリナが指さした。


 話しかけようとした時。


「領主さまぁ!」


 俺を呼ぶ声がした。


 職人のウースさんが走ってくる。


「お仕事中すみません、領主様。実は――」


「あっ! 父さん!」


 子供が思わぬ反応をした。


「は?」


「死んだんじゃなかったの?」


 ウースさんはあっさり答えた。


「あぁ、すまん。仕事が面白くてな」


「それで五年も?」


「は?」


「ウースさん、この子はあなたの子なの?」


「えぇ、うちの子ですよ」


「おぉ、元気にやってたか?」


 ウースさんは母親らしい女性に声をかけた。


「もう無理よ。この子を売りに出すところだったのに……」


「父さん、お金足りないんだ。何とかしてよ」


「母親Fに売る話がまとまりかけてたのに、ほかにも買いたい人が現れて……」


「あの裁判は、誰に買ってもらうかって話だったの」


「そうだよ!」


 子供もうなずく。


 なんだかなぁ。


 もうウースさんに丸投げでいいじゃん。


「裁判は却下します」


「あとはウースさん、何とかしてください」


「えぇ!? 困りますよ」


 面倒になった俺は、父親に丸投げした。


「仕事の時間が減るじゃないですか」


 ウースさんはそんなことを言っていたが


 5年も帰らなかった人が何を言う。

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・・ 次回 毎日 20:00 公開 ・・

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