ウソつきに裁判をさせるな
今日は裁判をやることになりました。
「それも領主の仕事なの?」
「当たり前です」
執事にバッサリ言われた。
裁判は、どちらがウソをついているかを裁くものだった。
ウソつきの俺に、そんなことさせるかね?
――裁判1:いない牛の行方――
A「牛を盗まれた、黒いヤツだ」
B「俺の牛だ」
「警察は、何と言ってた?」
A「警察?」
周りのみんなが、不思議そうな顔をした。
この世界には、警察という組織はないらしい。
なんてこった……。
捜査から始めないといけないのか?
だが、この体には便利な能力があった。
さすが賢者だ。
小動物を操り、その感覚を共有できる。
小鳥を飛ばし、AとBの家を調べた。
Aの家には牛が15頭。
Bの家には牛が19頭。さらに裏庭に1頭隠されていた。
黒い牛は、どこにもいない。
裏庭に隠している時点で、Bが怪しい。
さらに、その牛の足元には紙切れが落ちていた。
売却証書
黒牛 一頭
売却日 昨日
それで……問題の牛はどこへ行った?
Bに聞く。
「その牛はどうした?」
B「食べてしまいました」
Aに聞く。
「盗まれる前、お前の牛は全部で何頭いた?」
A「数えたことがありません」
Bに聞く。
「食べる前、お前の牛は何頭いた?」
B「20頭です」
「お前の牛は20頭だったと言ったな」
B「ああ」
「では、裏庭の1頭は何だ?」
Bの顔が固まった。
Bに牛の代金を支払うよう命じたが、応じない。
牛は畑を耕す大事な労働力だ。
そこで、Aの家で牛の代わりに働くよう命じた。
数日後、Bは素直に代金を支払ったそうだ。
――裁判2:貸したお金――
C「貸したお金を返せ」
D「借りてない。証文もない」
C「大事な金なんだ」
エリナがDの袖をめくった。
そこには、硬貨の跡が残っていた。
執事が説明する。
「この地方では、お金を貸した時、
硬貨にインクを付け、借り手の体に押して証文代わりにします」
なるほど。
「印を押した硬貨は、証拠として借り手が持つ決まりです」
俺はDの腕を見た。
「普通は黒インクですが、今回は赤インクですね」
でも、Dは、借りた覚えはないという。
そこで、2人の財布を調べさせた。
すると、Cの財布から赤いインクの付いた硬貨が出てきた。
普通なら、借り手に押した硬貨は貸し手の財布へ戻らない。
つまりCは、借りてもいないDに無理やり印を付けたのだ。
俺はCの訴えを退けた。
明日も裁判があるらしい。
どれどれ……。
ん?
なんじゃこりゃ……。
――裁判3:私の子供――
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※※ 次回 6/25 21:00 公開 ※※
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