うちの庭、どうなってんの?
代官から、ちゃんと数字の合った報告書が届いた。
今度は計算も合っている。
うーん。
ごまかしのない報告書は、やっぱりいい。
エリナは俺の膝の上でくつろいでいる。
読んでないよね?
……わかんないよね。
……と思っていたら、
「あ!」
エリナが指をさした。
「ここ、間違ってる……」
っていうか、計算もできるのね。
マジか。
新しい代官、大丈夫だと思ったんだけどな。
とはいえ、中抜きではなくただの書き間違いらしい。
少しホッとした。
忘れないうちに修正しておこう。
こうして、5地域分の報告書を読み終えた。
税収は、灰のおかげで二毛作、三毛作、四毛作のような効果が出て増加。
さらにオリハルコン山の収入もある。
一方で、上水道や公衆トイレなど公共事業への支出も増えていた。
結果、不足分はこちらで補填するしかない。
まぁ、仕方ない。
とりあえず不足分はエリナから借りることにした。
「すみません、エリナ様……」
「ん……」
何も説明しなくても貸してくれる。助かる。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
そんな折、職人たちが家賃のようなものを納めてくれた。
領主邸の敷地を借りているからだという。
今はお金が足りないので、ありがたく受け取る。
「こんなに?」
「少ないくらいです……」
「え? そんなに売れたの?」
「なんだか町の人が、俺たちに同情的なんです」
「涙ぐみながら買ってくれる人もいます」
「食べ物までくれたりして……」
「なんで?」
「さぁ……」
職人たちの品物が良すぎて感動したんじゃないか?
うん。
たぶん、そうだろう。
職人たちの工房が「奴隷館」なんて呼ばれていることとは……。
関係ないよね?
……ないよね?
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
収入は入った。
だが、エリナから借りっぱなしだったので、そのまま返済へ回す。
もちろん焼け石に水だ。
借金は、まだまだ残っている。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
だが、俺には秘策がある。
そう。
オリハルコンを作ればいい。
これで一気に返済できる。
ふふん。
……と思ったら。
エリナがまた、光る石を持ってきた。
複製してほしいらしい。
本当に光る石が好きだな。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
予想外の事態が起きた。
例の商人の店へ換金に行ったのだが――
「オリハルコンは余ってるから、もういらない」
……と言われた。
俺の計画がぁぁぁ!
そうだった。
この商人経由で、オリハルコン山の鉱石を買い取ってもらっていたんだった。
そりゃ余るか。
エリナがポケットから例の石をチラッと見せる。
「そ、それは……」
なんだろう。
デジャヴだ。
最近も同じ流れを見た気がする。
まさか。
またか?
「それはヒヒイロカネじゃないか!」
あぁ。
またその流れですか。
こうして、エリナの懐はまた潤った。
でも、俺の財布は相変わらず空っぽだ。
エリナから借金する生活は、まだまだ続きそうである。
ヒヒイロカネは、オリハルコンよりさらにずっと高価らしい。
「どこで拾ったの?」
「庭に落ちてた……」
どゆこと?
うちの庭、どうなってるんだ?
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・・ 次回 毎日 20:00 公開 ・・
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