そこからかぁ……
水道の整備が急務だ。
今は川から飲み水をくみ、汚水もそこへ流している。
下流へ行けば、きれいな水など望めない。
上流から水を引いて浄化し、各地へ配る上水道。
使い終えた水を下流へ流す下水道。
必要なのはわかる。
だが、労働力がない。
いや、それ以前に技術力もない。
そもそも、どうやって作るんだ?
さて、どうしたものか。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
幸い、身近に詳しそうな人たちがいる。
職人たちに相談してみることにした。
「労働力ですか?」
「いいですよ。協力します」
「もちろん、お金はいただきますけど」
「エリナ、また借りてもいい?」
「うん」
最近、借りてばかりだ。
たぶん、こういうのをヒモって言うんだろうな。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
こうして俺は職人たちと、どんな水道を作るべきか話し合った。
俺も思い出せる限りの前生の知識を出した。
まずは領都から、共同水汲み場を作る。
将来的には各村にも広げていく。
ここからの排水と公衆トイレの排水を、下水として……
……ん?
いや、ちょっと待て。
この世界のトイレ、水洗じゃない。
そこからかぁ……。
しばらく考え込んだ。
ダメだ。
俺は思考停止した。
ん、まぁいい。トイレは後回しだ。
◇ ◇ ◇ 1か月後 ◇ ◇ ◇
取水場ができたというので、視察に向かうことにした。
俺とエリナで馬のところへ向かう。
すると――
おぉぅ!?
いつの間にか厩舎ができていた。
馬まで増えている。
誰が買ったんだ?
最近はエリナとの遠出も増えた。
エリナ用に抱っこひもも買った。
これなら落ちる心配もない。
安心だ。
ともあれ、取水場へ向かう。
◇ ◇ ◇ 取水場 ◇ ◇ ◇
取水場兼浄水場は、想像以上の出来栄えだった。
「領主様、この砂の層でろ過してるんですよ」
「へぇ」
「たぶん大丈夫っす」
「たぶん!?」
ここから各町や村へ水道を延ばし、共同水汲み場を作っていく予定だ。
◇ ◇ ◇ 数か月後 ◇ ◇ ◇
最初に着工した領都の共同水汲み場は、順調に完成へ向かっていた。
そんな時だった。
一番下流の町で疫病が発生した。
症状は激しい下痢や嘔吐。
咳はなし。
嫌な予感しかしなかった。
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