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輪ゴム
「皆んな、また新製品が送られて来たんだ。良かったら使ってくれないか」
疲れた顔の副社長が段ボールに入った沢山の輪ゴムをデスクの上に置いた。
先月、近所のショッピングモールの駐車場に突如として、飴色の壁が現れた。
それは、直径20メートルもあろうかという巨大な輪ゴムだった。
日本中が騒然とする中、たまたま買い物に来ていた副社長がテレビの取材を受けた。
「あの巨大な輪ゴムは何だと思われますか」
「そりゃあ、巨大な食べかけのお菓子の袋を閉じてたんでしょ」
副社長は冗談のつもりで話したが、世間はそうは受け取らなかった。
その後、輪ゴム会社の宣伝説や現代アート説、UFOの着陸目印等も出たが、巨大な食べかけのお菓子の袋を閉じる説が最有力と見なされた。
そうして、副社長はその第一人者として輪ゴムの権威に祭り上げられたのだった。
「今でも自宅に取材の電話が鳴りやまないんだよ。巨大輪ゴムは何重巻きだったのかとか、日に当てて劣化しないのかとか…そんなの私知らないよ」
そう言うと、副社長はその場にしゃがみ込み、そして伸びてしまった。




