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有り難み
「皆んな、おはよう」
専務が白くて大きな袋を担いで出社してきた。
「わぁ。専務、おはようございます。大きな袋、素敵ですね」
そう言って、同期の女性社員が走り寄った。
「子ども達に、いい歳をしてブリーフケースじゃ格好がつかないと言われてね」
女性社員は、うんうんと頷いてから、専務の袋のタグを見た。
「凄い。これ大黒様タイプのじゃないですか。一番人気なんですよ」
「布袋様タイプとサンタクロースタイプもあったけど、これが子ども達の一推しでね」
「子どもさん達、センスがいいんですね」
「妻がセンスが良かったからな。しかし、最近の上司は決断力や統率力よりも、有り難みの時代なんだってな」
「大きな袋を担いだ専務、凄く有り難みが出てますよ」
「そうか、何だか照れるな」
そう言うと、専務は大きな袋を下ろして、中からいつものブリーフケースを取り出した。




