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前世

「私、今日バンジョニー先生の所に行ってきたのよ」

「誰それ?」

「え、知らないの?SNSで有名な前世が見える先生よ」


 妻は友達の紹介で、バンジョニーなる人物に前世を占ってもらった様だった。


「それ怪しい宗教か何かじゃないの?」

「違うわ。だって、千円しか出してないし、何かを買うように勧められたりも無かったわ」

「そっか…。それでそのバンジョニーに何て言われたの?」

「何と私の前世は1.25なんですって」

「…1.25?何それ?」

「利き目の視力よ。私は1.25の生まれ変わりの1.0なの」

「その他は?いつの時代とか仕事とか…」

「そんなの知らないわ。バンジョニー先生は視力専門なのよ」

「視力だけ?」

「あなた、前世の事が何でも分かるって言う人と前世の視力なら分かるって言う人、どっちが誠実だと思う?」

「そんな事を言ったら…」

「じゃあ、あなた現世の私の事が何でも分かる?前世なら尚更よ」

 そう言ってから、妻は優しく微笑んだ。


 妻のスマホに映し出された、紫の視力検査表の前のバンジョニーと思しき人物も、同じ顔で微笑んでいた。

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