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ツン
「それじゃあ、お疲れ様」
部長が帰って行った。
それを見届けてから、私達は仕事の手を止めた。
司会の課長が静かに言った。
「皆様、お忙しい中、部長を偲ぶ会にお集まりいただき、誠にありがとうございます」
私達は、それぞれ飲みかけのコーヒーを掲げて献杯をしてから、今日の部長の思い出を語り合った。
「ボールペンを落として拾ってたよな」
「あったあった」
「一回、間違い電話をして謝ってたよね」
「そうそう。頭を下げてた」
ひとしきり今日の部長を偲んで笑った後、誰かが言った。
「…でも、もう部長は帰っちまったんだよな」
「あぁ、まだ18時だろ。…早過ぎるよ」
私達は、急にしんみりとして天井を見上げた。
蛍光灯の光の中に、はにかむ部長がオーバーラップした気がして、鼻の奥がツンとした。
そんな私達の隣で、新卒は終始戸惑っていた。
それは、自分の新卒の頃を見ている様で、私はまたツンとした。




