98話 校長先生に相談
数か月たち、主人公の体力が限界だった。
そこで主人公は、特別授業の時間があまりにも長すぎることを、担任の先生に相談した。
「毎日二時間とか三時間は、さすがにきついです。学校の宿題もあるし、家に帰ってから何もできません」
担任は困ったように眉を下げた。
「気持ちは分かる。でも、特別授業については、私には変更する権限がないんだ」
「担任なのにですか?」
「担任だから何でも決められるわけじゃないの。校長先生に相談できるよう、手配しておくから」
数日後、主人公は校長室に呼ばれた。
大きな机の向こうで、校長先生は主人公の話を黙って聞いていた。
「授業時間を短くするか、せめて毎日ではなくしてほしいんです」
主人公が訴えると、校長先生は深いため息をついた。
「君の担当をしている先生はね、こども家庭庁の幹部候補なんだ」
「幹部候補?」
「そうだ。学校の教師よりも、こども家庭庁の中でも、はるかに大きな権限を持っている。本人が授業に必要だと判断した以上、私から断ることはできないんだよ」
「でも、僕の生活がほとんどなくなっています」
「それは分かっている。しかし、君の担当から外したら、あの先生はどうすると思う?」
主人公は首をかしげた。
校長先生は声を落として続けた。
「次から、この学校には人気のない先生ばかりを派遣すると言っているんだ」
「それって、脅しじゃないですか?」
「言い方に気をつけなさい」
校長先生は慌てて周囲を見回した。
「とにかく、そんなことになれば、うちの学校の評判は落ちる。入学希望者も減るし、保護者からも苦情が来る。学校全体に迷惑がかかってしまうんだ」
「つまり、学校の人気を守るために、僕一人が犠牲になれってことですか?」
校長先生は視線をそらした。
「……そこまで直接的な言い方はしていない」
「意味は同じですよね?」
しばらく沈黙が続いた。
やがて校長先生は、申し訳なさそうな顔を作った。
「卒業までの辛抱だ。なんとか我慢してくれないか」
主人公は言葉を失った。
相談すれば、少しは状況が改善すると思っていた。
しかし、担任には権限がなく、校長にも逆らう勇気がない。
結局、この学校で一番立場が弱いのは、生徒である主人公だった。
「分かりました」
そう答えながらも、主人公は心の中で思った。
――何も分かってくれない。校長先生でもどうしょうもなかった。
校長室を出ると、廊下ではこども家庭庁の先生が凄い笑顔で待っていた。
「相談、終わった?」
出口でこども家庭庁の先生が待っていることに、主人公は恐怖感じた。震えながら返事をした。
「……はい」
「それなら、今日は話し合いで時間を使っちゃったから、いつもより一時間長く授業するね。」
主人公は、その場で逃げ出したがすぐ捕まった。
小さな声で
「国家試験受けれないよ」
と脅された。
「あと、君たちにちょっかいだす人達も権限で黙らせておいたわよ」
権限って何をしたのだろうか?
その日はいつもよりも特別授業が長かった。しかも激しかった。




