↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したらみんなが恋人いる謎の世界だった。どうして私だけいないの。  作者: まやまや
転生したら男でした。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

95/164

95話 初めての特別授業

とうとう、あれが来たのだった。


初めて特別授業が行われる日だった。


主人公は朝から気分が最悪だった。


一方、クラスメイトの男子たちは、遠足にでも行くかのように浮かれていた。


「どんな先生になるんだろうな」


「俺、優しい先生がいい!」


「若い先生が担当になるといいな!」


そんな会話が教室のあちこちから聞こえてくる。


だが、前世の記憶を持つ主人公だけは、机に突っ伏していた。


「なんでみんな、そんなに楽しそうなんだよ……」


授業の詳しい内容は教えられていない。


ただ、男子だけが受けること。


一度担当が決まると、最低でも一年間は指導を受けることになり、原則として先生を変更することはできない。


そして、最終的には国家試験に合格しなければならないことだけは聞かされていた。


前世の常識を持つ主人公には、どう考えても嫌な予感しかしなかった。


女子は先に帰らされ、その後、男子だけが体育館へ移動することになった。


一年生男子全員が集められる。


やがて、クラスの担任とほかのクラスの教師が体育館へ入ってきた。


そのあとから、きれいな女性たちが続いて入ってくる。


この女性たちが、特別授業を担当する先生らしい。


体育館の正面には大型ディスプレイが設置され、生徒たちの手元のタブレットにも同じ画面が表示された。


「それでは、特別授業を担当する先生を決めます」


どうやら、担当教師はシステムによる無作為抽選で決められるらしい。


一人の教師がこの学校で担当する生徒は、およそ五人。


一年間では、複数の学校を回りながら二十人ほどを受け持つという。


男子生徒が一人ずつ前へ出て、正面に置かれた端末へ手をかざしていく。


本人確認が終わると、画面中央に大きな「抽選」の文字が表示された。


「押してください」


男子が画面に触れる。


数字が高速で切り替わり――やがて止まった。


《3番》


同時に、大型ディスプレイへ担当教師の名前と顔写真が表示される。


《担当教師 山田先生》


「やったー!」


当たった男子が両手を上げて喜ぶ。


一方、別の男子は自分の画面に結果が表示された瞬間、分かりやすく肩を落とした。


《7番》


《担当教師 佐藤先生》


「ええ……厳しいって噂の先生じゃん……」


「聞こえていますよ」


佐藤先生が笑顔で声をかけると、その男子は青ざめて背筋を伸ばした。


体育館では、当たりだ、外れだと大騒ぎだった。


主人公には、担当教師を抽選で決めている時点で、この制度そのものが外れにしか思えない。


「次、主人公」


ついに名前を呼ばれた。


「どうか、普通の先生でありますように……」


主人公は祈りながら前へ出る。


端末へ手をかざすと、本人確認が行われた。


《本人確認完了》


《抽選を開始してください》


主人公は恐る恐る画面へ指を伸ばした。


「頼むぞ……」


画面を押す。


数字が高速で切り替わる。


十四。


三。


八。


二十。


そして――。


《15番》


抽選が止まった。


「十五番です」


主人公がそうつぶやいた瞬間だった。


教師たちの列の端に立っていた一人の先生が、勢いよく拳を突き上げた。


「よっしゃああああっ!」


体育館に響き渡るほどの大声だった。


さらに先生は、両手で力強くガッツポーズをする。


「来た! ついに来た! 絶対に担当したいと思っていたのよ!」


まるで宝くじの一等に当選したかのような喜び方だった。


ほかの教師たちは苦笑いし、男子生徒たちは主人公と先生を交互に見る。


主人公は、画面に表示された《15番》の文字を見つめたまま固まっていた。


「……先生」


「何?」


「どうして、そんなに喜んでいるんですか?」


「あなたを担当したかったからに決まっているでしょう!」


先生は満面の笑みで答えた。


体育館から「おおー」という声が上がる。


主人公にとっては、まったく喜べる話ではなかった。


「なんで俺を担当したかったんですか?」


「それは授業が始まってからのお楽しみ」


先生はそう言うと、意味ありげに片目を閉じた。


主人公の背中に、冷たいものが流れる。


前世でも、教師にここまで露骨に喜ばれた経験はない。


少なくとも、普通の授業を担当する教師の反応ではなかった。


「先生、担当を変更することはできますか?」


「できません」


担任が即答した。


「システムで決定した担当は、原則として変更できません」


「体調不良の場合は?」


「授業日を変更します」


「先生との相性が悪かった場合は?」


「時間をかけて信頼関係を築きましょう」


「先生が異常にやる気満々の場合は?」


「素晴らしいことですね」


「俺の味方が一人もいない!」


主人公が叫ぶと、体育館では笑いが起きた。


しかし、担当となった先生だけは笑っていなかった。


主人公を見つめながら、今にも鼻歌を歌い始めそうなほど上機嫌である。


その直後、主人公のタブレットに通知が表示された。


《特別授業担当教師が決定しました》


《担当:十五番 特別指導員》


《本日放課後 特別教室3》


先生も自分の端末を確認しながら主人公へ笑いかけた。


「放課後、特別教室に来てね。初回だから、今日は説明だけよ」


「本当に説明だけですか?」


「もちろん」


先生は笑顔のまま答えた。


だが、その直後、小さな声で付け加える。


「時間が余ったら、少しくらい先に進めてもいいけど」


「聞こえていますからね!」


主人公の叫びが、再び体育館中に響き渡った。


クラスメイトたちは羨ましそうにしていたが、主人公だけは確信していた。


この抽選は、間違いなく大外れだ。


そして放課後。


主人公はタブレットに表示された案内を確認しながら、重い足取りで指定された特別教室へ向かうことになった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。