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転生したらみんなが恋人いる謎の世界だった。どうして私だけいないの。  作者: まやまや
謎の世界

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73話 この世界の歴史(1)

お父さんから、一冊の本を渡された。


それは、この国の歴史が記されているという、ひどく古びた本だった。


茶色く変色した表紙には無数の傷がつき、端はところどころ破れている。


主人公は恐る恐る、その本を手に取った。


この世界に来てから、紙で作られた本を見るのは初めてだった。


本や雑誌はもちろん、学校の教科書さえ、すべて携帯やタブレットなどの端末に保存されている。


紙の本など、今ではほとんど存在していないらしい。


指先に伝わる、わずかにざらついた紙の感触。


ページをめくるたびに聞こえる、かすかな音。


そして、インクと古い紙が混ざった独特の匂い。


主人公は、それを懐かしく感じた。


前世では、紙の本など珍しくもなかった。


しかし、この世界で久しぶりに触れてみると、不思議と昔を思い出してしまう。


主人公はゆっくりと表紙を開いた。


そこには――学校では一度も教わったことのない、信じられない歴史が記されていた。


――ある日、十隻の巨大な宇宙船が、突如として地球へ飛来した。


人類は当初、宇宙人たちが友好的な目的で地球を訪れたのだと考えていた。


世界各国は彼らを歓迎する準備を進めるとともに、宇宙船との交信を試みた。


そして実際、最初のうちは宇宙人たちも人類に対して友好的な態度を示していた。


互いに言葉を交わし、代表者同士による話し合いも行われた。


人類の多くは、宇宙人との交流によって新たな時代が始まるのだと期待していたという。


しかし――。


話し合いが続くにつれ、宇宙人たちは人類へ無理難題ともいえる要求を突きつけた。


世界各国は、それを受け入れることができなかった。


そして、人類が要求を拒絶した瞬間。


宇宙人たちの態度は一変した。


十隻の宇宙船は、世界各国の軍事基地へ向けて一斉に攻撃を開始した。


戦闘機も。


戦車も。


軍艦も。


宇宙人の兵器の前では、何の役にも立たなかった。


強固な地下施設を備えた軍事基地でさえ、わずか数時間で跡形もなく消滅したという。


当然、人類も黙ってはいなかった。


戦闘機からミサイルを撃ち込み、地上部隊はありったけの兵器で応戦した。


だが――。


宇宙船には、傷一つつかなかった。


あらゆる通常兵器が通用しない。


追い詰められた国々は、ついに最後の手段を選択した。


核兵器である。


人類史上最大級の破壊力を持つ兵器が、宇宙船へ向けて使用された。


しかし――。


それすらも、宇宙船を守る防御を破ることはできなかった。


人類は絶望した。


もはや、自分たちに残された武器はない。


このまま滅ぼされる。


誰もがそう覚悟した、そのときだった。


どこからともなく、五人の少女が現れた。


少女たちは、普通の人間では考えられないほど派手で不思議な衣装を身にまとっていた。


そして、人間とは思えない力を使い、宇宙船へ戦いを挑んだ。


人類の兵器では傷一つつけることのできなかった宇宙船を――。


少女たちは、撃破した。


一隻。


また一隻。


さらに一隻。


五人の少女は次々と宇宙船を破壊していった。


そしてついに――。


十隻あった宇宙船のうち、九隻を撃破した。


世界中の人々が歓喜した。


人類を救う存在が現れた。


このまま最後の一隻も倒してくれる。


誰もが、そう信じて疑わなかった。


しかし――。


しかし、最後に残った宇宙船だけは違った。


その船には、宇宙人たちを率いる存在が乗っていたのだ。


その力は、それまで戦ってきた宇宙人たちとは比べものにならないほど強大だった。


四人の少女は、あまりの力の差を前に撤退を試みた。


しかし、逃げ切ることはできなかった。


あっという間に追い詰められ、捕らえられた末に処刑されてしまった。


残されたのは、ただ一人。


最後の少女だけが、仲間を失ってなお諦めることなく、必死に戦い続けた。


世界中の人々が、その戦いを祈るような思いで見守っていた。


だが――。


最後の少女も、ついに力尽きた。


最後の宇宙船を倒すことはできなかった。


こうして、五人の少女は全員敗れた。


人類を救う最後の希望は、ここに失われた。


もはや、宇宙人に対抗できる者は誰もいなかった。


そして――。


人類は、宇宙人に降伏した。


主人公は、そこでページをめくる手を止めた。


「……宇宙人に、降伏した?」


思わず声が漏れる。


震える指で、次のページをめくる。


そこには、それまでとは明らかに違う大きな赤い文字で、一文だけが記されていた。


――現在の人類社会は、宇宙人によって支配されている。


「……えっ?」


思わず、声が漏れた。


主人公はしばらく、その一文から目を離すことができなかった。


現在の人類社会。


つまり――。


これは、過去の話ではない。


今もなお。


自分たちが暮らしているこの世界そのものが、宇宙人によって支配されているということだった。

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