70話 医療大学での将来進む診療科の決定
大学二年生になると、医療大学では将来進む診療科を決めることになった。
希望は第四希望まで提出できたが、必ずしも本人の希望が通るわけではない。これまでの成績や実習での評価、各診療科の定員などをもとに、最終的な配属先は大学側が決定する仕組みだった。
主人公は、第一希望に内科、第二希望に小児科、第三希望に産婦人科、第四希望に外科を書いた。
以前の世界では、父が内科医、母が小児科医として働いていたため、自然とその二つに興味を持っていたのだ。第三希望と第四希望については、特に強いこだわりはなかった。
前世では医師不足が問題になることも多かったが、この世界では少し事情が違っていた。
定期的な健康診断による予防医療に加え、AIを使った診断技術も発達している。そのため、病気の多くは早い段階で発見され、重症化する患者や大きな手術を必要とする患者は、前世よりもはるかに少なかった。
その影響もあって、内科医や外科医は前世ほど多くの人数を必要とされていない。
内科、整形外科、皮膚科、小児科などは医学生からの人気が高く、毎年多くの希望者が集まっていた。
一方で、産婦人科、救急科、外科は勤務の大変さなどから、あまり人気がなかった。
主人公は成績上位者だった。
――第一希望は無理でも、第二希望くらいには入れるだろう。
そう考えていた。
しかし、後日携帯に届いた配属結果を確認すると、そこに表示されていたのは――
『産婦人科コース』
という文字だった。
「……第三希望か」
思わずため息が漏れる。
少し残念ではあったものの、医師を目指せることに変わりはない。
「まあ……仕方ないか」
こうして主人公は、思いがけず産婦人科医を目指し、専門的な勉強を始めることになった。




