7話 宇宙船九隻撃破!? ~頑固すぎる仲間たち~
世界中の上空に、十隻の巨大宇宙船が現れた。
テレビは朝から大騒ぎだった。
『人類最大の危機です!』
主人公は静かに立ち上がった。
「……一人で行くわ」
四人は一斉に声を上げた。
「えぇーっ!?」
そして、ほぼ同時に立ち上がる。
「私たちも行くわ!」
主人公は慌てて両手を広げた。
「待って!」
「え?」
「今回は絶対についてきちゃダメ!」
赤の戦士が首をかしげる。
「なんで?」
「危ないから!」
青の戦士が胸を張った。
「大丈夫! 私たちだって、今まで魔物を倒してきたでしょ!」
「普通の魔物ならね!」
緑の戦士が口を尖らせる。
「ちゃんと戦えるもん!」
「それは知ってる! でも今回は敵のレベルが違うの!」
黄色の戦士も真剣な顔で言う。
「それでも、私たちは仲間ですから」
「その仲間を守りたいの!」
主人公は必死だった。
「お願い! 本当に今回は留守番して!」
四人は顔を見合わせる。
そして――。
「断る!」
「即答!?」
主人公は頭を抱えた。
「こんなに必死に説得してるのに!」
小さな女の子――ミナが苦笑する。
「この四人、意外と頑固だからね」
「意外じゃないよ! ずっと頑固だよ!」
――一隻目。
宇宙船から、大量の侵略兵が降りてきた。
先頭にいるのは、人間とほぼ同じ大きさの兵士たちだった。
赤の戦士が叫ぶ。
「いくよー!」
「おー!」
四人が一斉に飛び出した。
ドーン!
ズバーン!
バシュッ!
魔法が次々と命中する。
「ギャアアア!」
「グオオッ!」
侵略兵たちは次々と吹き飛ばされていった。
赤の戦士が胸を張る。
「ほら! 倒せるじゃん!」
青の戦士も得意げに言う。
「私たちだって強くなってるんだから!」
主人公もうなずいた。
「うん。そのくらいの敵なら大丈夫」
緑の戦士が頬を膨らませる。
「そのくらいって言い方!」
黄色の戦士も不満そうに続ける。
「評価が低いです」
「いや、ちゃんと褒めてるから!」
そのとき――。
ドシン。
宇宙船の奥から、これまでとは明らかに違う侵略兵が現れた。
全身を黒い装甲で覆った、武装兵だった。
四人が顔を見合わせる。
「……でっか」
赤の戦士が魔法を放つ。
「えーい!」
ドーン!
直撃。
煙が晴れる。
武装兵は――。
「……」
無傷だった。
赤の戦士。
「え?」
青の戦士も攻撃する。
「これなら!」
ズドーン!
武装兵。
「……」
スタスタスタ。
何事もなかったかのように歩いてくる。
緑の戦士が青ざめる。
「歩いてる!」
黄色の戦士が冷静に分析する。
「損傷率……おそらくゼロです」
主人公が叫んだ。
「だから言ったでしょ! そういうのがいるから危ないの!」
四人が一斉に主人公の後ろへ隠れる。
「お願い!」
「急に素直!」
主人公がステッキを掲げた。
「いくよ!」
閃光が走る。
ズバーン!
「グオオオオッ!」
武装兵は一撃で消滅した。
そのまま主人公は宇宙船へ飛び込み――。
数秒後。
ドォォォン!
巨大宇宙船が機能を停止した。
ミナが拍手する。
「一隻目、撃破!」
赤の戦士が胸を張った。
「私たちもいっぱい倒した!」
主人公もうなずく。
「うん。雑魚兵はちゃんと倒してたね」
「雑魚って言わないで!」
――二隻目。
再び、大量の侵略兵が現れる。
四人が気合を入れた。
「今度こそ全部倒す!」
ドドドドドーン!
兵士たちが次々と倒れていく。
青の戦士。
「よし!」
緑の戦士。
「私たち、結構強い!」
黄色の戦士。
「戦果は十分です」
主人公は釘を刺す。
「だからって調子に乗らないでね」
その直後。
宇宙船から、黒い装甲の武装兵が降りてきた。
四人。
「……」
主人公。
「ほら来た」
赤の戦士。
「一応やってみる?」
「やめときなさい!」
四人が一斉攻撃。
ドドドドドーン!
煙が晴れる。
武装兵。
「……」
無傷。
青の戦士。
「むしろ元気そう」
主人公。
「体力回復させたんじゃないでしょうね!?」
主人公がステッキを振るう。
ズバーン!
武装兵は一撃で消滅。
そのまま二隻目の宇宙船も撃破した。
――三隻目。
四人は、次々と侵略兵を倒していく。
「囲めー!」
「逃がさないよ!」
「右から来る!」
「そっちは任せてください!」
主人公は少し離れた場所から、感心したように眺めていた。
「普通の敵なら、本当に問題ないんだけどなぁ……」
そのとき、宇宙船の扉が開く。
黒い装甲の武装兵が姿を現した。
主人公。
「はい、そこまで!」
四人。
「まだ何もしてない!」
「する前に止めてるの!」
赤の戦士。
「一発だけ!」
「ダメ!」
青の戦士。
「二発なら?」
「増やすな!」
緑の戦士。
「じゃあ応援する!」
「それが一番助かる!」
黄色の戦士が手を振る。
「頑張ってください」
「急に観客になった!」
主人公は武装兵を一撃で倒し、そのまま三隻目の宇宙船も撃破した。
その後も――。
四隻目。
五隻目。
六隻目。
七隻目。
八隻目。
そして九隻目。
四人は普通の侵略兵を相手に大活躍した。
赤の戦士が前衛で敵を吹き飛ばし、
青の戦士が遠距離から援護し、
緑の戦士が素早い動きで敵をかく乱し、
黄色の戦士が仲間を守りながら、確実に敵を仕留めていく。
普通の侵略兵が相手なら、四人だけでも十分に戦えていた。
しかし――。
「武装兵出たー!」
「主人公、お願い!」
「交代!」
「任せました!」
主人公。
「そこだけ判断早いね!?」
武装兵や宇宙船の中枢を守る強敵が現れるたび、主人公に交代。
ズバーン!
ドカーン!
そして、宇宙船撃破。
九隻目を倒し終える頃には、世界中のニュースが大騒ぎになっていた。
『驚異的な戦果です!』
『九隻の巨大宇宙船が機能を停止しました!』
『各地に出現した侵略兵も、ほぼ壊滅状態です!』
一方、そのころ――。
赤の戦士は地面に座り込んでいた。
「今日は頑張ったね!」
青の戦士も息を切らしている。
「いっぱい倒した!」
緑の戦士。
「疲れた~!」
黄色の戦士。
「戦果としては十分でしょう」
主人公も、今回ばかりは否定しなかった。
「まあ……今回は本当にいっぱい倒してたね」
四人。
「やったー!」
主人公は続ける。
「ただし、武装兵や強敵は一体も倒してないけど」
四人。
「……」
赤の戦士。
「そこは言わなくてもよくない?」
「大事なところだから!」
ミナは笑いをこらえながら、空を指さした。
「でも、あと一隻残ってるよ」
主人公が空を見上げる。
最後の巨大宇宙船だけが、静かに上空へ浮かんでいた。
これまでの九隻とは明らかに違う。
ひときわ巨大で、不気味なほど静かだった。
主人公の表情から笑みが消える。
「……あれは、今までとは違う」
四人も空を見上げる。
主人公はステッキを強く握りしめた。
「普通の兵士なら、みんなでも倒せる。でも、あの船にいる敵は……たぶん別格」
そして、四人を振り返る。
「だからお願い。最後だけは、本当に後ろで応援してて」
四人は顔を見合わせた。
そして、満面の笑みで答える。
「分かった!」
主人公が少し安心する。
「よかった……」
赤の戦士。
「危なくなったら前に出る!」
「分かってない!」
青の戦士。
「雑魚兵だけ倒す!」
「それならまだいい!」
緑の戦士。
「武装兵にも一発だけ!」
「ダメ!」
黄色の戦士。
「私は後ろから観察して、敵の情報を集めます」
「黄色だけすごくまとも!」
主人公は頭を抱えながら叫んだ。
「お願いだから、ラスボス戦くらい言うこと聞いてよー!!」




