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転生したらみんなが恋人いる謎の世界だった。どうして私だけいないの。  作者: まやまや
転生した世界。皆が豊かで平和すぎる世の中だったのに私だけ彼氏がいない。

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57話 国民3大義務 

ホテルの一室へ案内されると、彼は落ち着かない様子で部屋の中を見回した。


広いベッドに、二人掛けのソファ。窓の外には、街の夜景が広がっている。


けれど、きれいなお姉さん――彼が「先生」と呼んでいた女性だけは、まるで役所の窓口にでもいるよう


な落ち着いた表情をしていた。


「それでは、先に身を清めてきてください」


女性が彼に告げる。


「はい、先生」


彼は緊張した声で答え、主人公の顔を一度だけ見てから浴室へ向かった。


「ちょ、ちょっと待って。どうしてシャワーなの?」


主人公が尋ねても、彼は答えなかった。


浴室の扉が閉まり、しばらくするとシャワーの音が聞こえ始める。


部屋には、主人公と女性だけが残された。


女性はテーブルの前に座ると、向かい側の椅子を手で示した。


「どうぞ、座ってください」


言われるまま腰を下ろす。


女性はタブレット端末を操作し、主人公の名前や生年月日を確認していた。


まるで面接のようだった。


「緊張していますか?」


「……当たり前です。何も聞かされていませんから」


少し強い口調で答えると、女性は困ったように微笑んだ。


「彼から説明することは禁止されているんです。最終試験の内容を、事前に対象者へ知らせることはでき

ませんから」


「最終試験……?」


胸の奥がざわついた。


女性はタブレットをテーブルに置き、主人公の目をまっすぐ見つめる。


「学校で習ったと思いますが、国民の三大義務は覚えていますか?」


「え?」


あまりにも場違いな質問だった。


ホテルの一室で、彼氏はシャワーを浴びていて、目の前には国の職員らしい女性がいる。


その状況で、いきなり社会の授業のような質問をされている。


「ええと……納税と、勤労と……」


主人公はそこで言葉を止めた。


この世界で教えられている三つ目の義務。


授業で答えるたび、なぜかクラスのみんなに笑われた言葉。


「……子作りの義務」


「正解です」


女性は静かにうなずいた。


「彼は国家資格試験に合格しました。今日から、その三つ目の義務を果たす資格を得たのです」


「資格って……」


「誰でも自由にできることではありません。一定期間の授業を受け、担当教官の許可を得て、国家試験に合格しなければならない。彼はそのために、三年間努力してきました。」


シャワーの音が、やけに大きく聞こえた。


彼が最近、何度も勉強会へ行っていたこと。


毎週のように「先生の授業がある」と言っていたこと。


合格したと連絡してきたとき、お母さんが泣くほど喜んでいたこと。


全部が一本につながっていく。


「じゃあ……今日の合格祝いって……」


女性は柔らかい笑顔のまま答えた。


「お祝いであると同時に、最後の試験でもあります」


「聞いてません!」


思わず立ち上がった。


「私、そんなこと一言も聞いてません! お母さんも彼も、今日は普通のデートだって……!」


「あなたが拒否する権利はあります」


女性はすぐにそう答えた。


主人公は動きを止めた。


「……あるんですか?」


「もちろんです。義務とはいえ、本人の同意なしに進めることはできません。ただし、拒否した場合は今

日の試験は中止となります」


「卒業までに義務を果たせなかった男女は、神の世界にある学校へ行くしかなくなるの。そこに入学した者は、二度とこちらの世界で姿を見ることはないと言われているわ」


「二度と姿を見ることがないってことは……死んでいるってことですか?」


「それは分からないわ。私もそう聞いているだけだから。ただし、女性には一つだけ例外があって、こども家庭庁に入ることさえできれば免除されるの」


「こども家庭庁に?」


「ええ。あなた、学校からの推薦を断ったって、彼が言ってたわよね。私、本当にもったいないことをしたと思うの」


先生は少し残念そうに続けた。


「推薦で入れば、基本的には私と同じ仕事をすることになるわ。ただ、一般入試はものすごく倍率が高いの。それに、たとえ一般入試で入れたとしても、なれるのは試験官だけよ」


「その試験官って、何をするんですか?」


「試験を受ける人を相手にして、規定の反応まで達したら合格。そういう試験よ」


「そんな試験なんですか……」


「もちろん、誰が試験官になるかは事前に決められていて、受験者にも知らされるわ。だから相手に合わせて、ある程度は傾向と対策もできるってわけ。本番は禁止で、常に弱いところばかりを攻め続けられるんです。まさに地獄だわ」


だから、両親泣いていたのか。知らなかった。


「子供出来たらどうするの?」


「子供はできないわ。18歳にならないとなぜかできないの」


「将来別れたり、浮気とかされたらどうするの?」


「それはないわ。この国では、ほとんどの人が初めての人と一生を共にするの。別れたら神の世界に行くことになるし。だから安心して」


「どうするの?」


「それって……もし私が断ったら、あと数か月で恋人を見つけなきゃいけないってこと?」


女性は答えなかった。



シャワーの音が止まった。


浴室の向こうで、彼がこちらの会話を聞いているような気配がした。


女性は静かに告げる。


「彼の努力ではなく、あなた自身の意思で決めてください。それが、最終試験で最も重要なことです」


「彼にキスをすれば、OKのサイン。あとは彼に任せればいいわ。」


「初回はこの服のまま始めることになっている。シャワー上がってきたら任せるわ」


ショックが大きかった。前世でも体験したことはなかったからだ。


でも、拒否できないことは分かった。



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