52話 彼との交際の日々
彼との交際が始まった。
最初の頃は、お互いに緊張していて、会話が途切れることも多かった。けれど、何度もデートを重ねるうちに、少しずつ自然に話せるようになり、冗談を言って笑い合うほど仲良くなっていった。
ある日のデートで、彼が突然、真剣な顔をした。
「実は、あのお見合いには秘密があったんだ」
「秘密?」
彼には以前、付き合っていた女性がいた。しかし、彼女は病気がちで、入退院を繰り返した末、少し前に亡くなってしまったという。
彼女を失った彼は、しばらく新しい恋愛をする気になれなかった。
それでも、親が国営恋人紹介サービスに彼の相手を募集すると、多数の女性から応募があったらしい。
「その中から、どうして私が選ばれたの?」
主人公が尋ねると、彼は少し言いにくそうに視線をそらした。
「君の両親が、お見合いを成立させるために、国営恋人紹介サービスへかなりの大金を払ったらしいんだ」
「えっ……お父さんとお母さんが?」
主人公は思わず大きな声を出した。
両親があれほど必死になっていた理由が、ようやく分かった。
「僕も最近まで知らなかった。でも、君と会ったことを後悔しているわけじゃないよ。こうして素晴らしい女性に巡り合えた。俺は幸せだよ。」
彼はそう言って、優しく笑った。
主人公は複雑な気持ちになりながらも、その言葉を聞いて少しだけ安心した。




