34話 新校訓と前代未聞の校歌
新年度、春の全校集会。
体育館に全校生徒が集まり、校長先生がゆっくりと演台に立った。
「本日は、本校の新しい校訓を発表します。」
スクリーンに大きく文字が映し出される。
新・校訓
一、たくさん出会いをする。
二、自らアプローチする。
三、高望みしない。
体育館は静まり返った。
「……え?」
次の瞬間、
「ぶはっ!」
「あはははは!」
「校訓なの、それ!?」
あちこちから笑い声が上がる。
そのとき校長先生が、ゆっくり主人公のほうを見た。
すると周りの生徒も一斉に主人公を見る。
「なんでみんな私を見るの!?」
クラスメイトは笑いをこらえながら、
「タイミングが良すぎる!」
「校長先生、完全にこっち見てる!」
主人公は真っ赤になって首を振る。
「違うから! 私だけに向けた話じゃないから!」
校長先生は真面目な顔でうなずく。
「もちろん、この校訓は全校生徒に向けたものです。」
少し間を置いて、
「そう...。全校生徒全員に。」
そう言いながら、また主人公の方向をちらり。
「また見た!」
「五回目!」
体育館は再び大爆笑。
主人公は思わず頭を抱えた。
「もう帰りたい……。」
笑いが落ち着いたころ、校長先生はさらに続けた。
「そして今年から、新しい校歌も制定しました。」
音楽の先生がピアノを弾き始める。
校長先生が堂々と歌い出した。
一番
朝日に輝く 学び舎で
今日も始まる 恋の道
勇気を出して 声かけて
まずは笑顔で こんにちは
友と学んで 恋をして
青春の日々を 歩もうよ
高望みせず あきらめず
運命の人を 見つけよう
ああ 我らの学び舎よ
恋人つくろう 卒業までに
二番
数学 国語に 英語より
大事な授業が ここにある
好きな人には 自ら行こう
待っているだけじゃ 始まらない
放課後デート 休日も
二人で育てる 愛と夢
一人で帰る その前に
勇気を出して 誘ってみよう
ああ 我らの学び舎よ
恋人つくろう 青春のため
三番
春には出会い 夏デート
秋には二人で 文化祭
冬には寄り添い 手をつなぎ
未来の約束 語り合う
出会いを求め 歩き出せ
失敗したって また挑戦
今日の恋人 明日の伴侶
幸せ家庭を 築くため
ああ 我らの学び舎よ
恋人つくろう 未来のため
恋人つくろう 卒業までに
歌い終わると拍手が起こる。
校長先生はマイクを持ち直した。
「この歌は、人との出会いや交流を大切にし、良い人間関係を築いてほしいという願いを込めて作りました。」
するとクラスメイトが主人公に小声で言う。
「さっきの校訓と合わせると、なんか全部主人公への応援ソングみたいに聞こえる。」
「やめて!」
主人公が顔を真っ赤にすると、周囲はまた笑いに包まれた。
こうして、新校訓と新校歌が発表された全校集会は、学校史上もっとも笑い声の多い集会として語り継がれることになった。
のちにこの校歌は、全国各地の学校に広まり、第二の校歌として全国に広まっていった。
2年生になると、選択授業の科目を決めなければならなかった。
しかし、どの科目を選べばいいのか分からなかったため、先生に相談することにした。
「先生、将来医者になりたいんですけど、どの科目を選べばいいですか?」
すると、先生はあっさりと答えた。
「それなら、難易度の低い社会を選べばいいんじゃないかな。医者になるために、特に難しい科目を選ぶ必要はないからね」
「そうなんですか?」
「ええ。大切なのは、試験で良い成績を取ることだからね」
なるほど。そういうことなら、わざわざ難しい科目を選ぶ必要もない。
こうして、主人公は選択科目に社会を選んだ。




