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転生したらみんなが恋人いる謎の世界だった。どうして私だけいないの。  作者: まやまや
魔法少女戦士をやらされた。こんなのやりたくないよ。

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3話 残りの4人を探す

変身してしまった翌日。


主人公は放課後の空き教室で、昨日出会った小さな女の子と向かい合っていた。


「まず、名前を教えて」


「ミナ!」


「じゃあ、ミナ。昨日の説明、全然足りてないから」


主人公は机を指でトントンと叩いた。


「どうして私が変身したの?」


「ステッキに選ばれたから!」


「説明が一行で終わった!」


ミナは鞄から、見たこともない大掛かりな端末を取り出した。


小さな女の子が持ち歩くには、ずいぶんと仰々しい機械だった。


画面には、五つの光が円を描くように並んだ紋章が映し出されている。


「昔、この地球を守っていた戦士は五人いたの。でも、その戦士たちは消えて、変身ステッキだけが残ったの」


主人公は画面を見つめる。


「五人……」


「あなたは一人目。この地球を守るために残りの四人も探さないといけない」


「そんな簡単に言われても……」


するとミナは、さらに小さな機械を取り出した。


丸い画面の中央で、光の点がかすかに点滅している。


「適合者が近くにいると、これが光るの!」


主人公は嫌な予感を覚えた。


「まさか、今日から探すの?」


「うん!」


「宿題あるんだけど」


「世界の危機だよ!」


「世界の危機って、学生の予定を一切考慮してくれないよね!」


最初の反応があったのは、学校の体育館だった。


機械の光が強く点滅する。


「この中にいる!」


体育館では、女子バスケットボール部が練習をしていた。


その中でもひときわ目立っていたのが、二年生の葵だった。


背が高く、運動神経も抜群。


主人公が事情を説明すると、葵は怪しそうな目でステッキを見つめた。


「これを掲げて、『パワーオン』って言えばいいの?」


「うん。私も昨日、同じことやった」


「本当に変身したの?」


「今でも夢だったと思いたい」


葵は少し考えたあと、あっさりとステッキを掲げた。


「パワーオン!」


体育館倉庫の中が、まばゆい青い光で満たされる。


葵の身体が光の粒に包まれ、風と水を思わせるエネルギーが全身を駆け巡った。


そして次の瞬間――。


そこには、青を基調とした魔法戦士の姿があった。


葵は自分の姿を見下ろす。


「すごい。本当に変身した」


主人公は驚いた。


「反応が冷静すぎない?」


「こういうの、一度やってみたかった」


「適合者二人目、順応が早い!」


三人目は図書館にいた。


小柄で眼鏡をかけた一年生、詩織。


ミナの機械は激しく反応していたが、詩織は頑として首を縦に振らなかった。


「危険なことは嫌です」


「私もそう言ったよ」


「では、なぜ引き受けたんですか?」


「しつこかったから」


ミナが胸を張る。


「私、諦めないから!」


「そこ、胸を張るところじゃないからね?」


詩織は深いため息をついた。


結局、三十分にわたる説得の末、ステッキを受け取ることになった。


「一度だけですからね」


「その言葉、昨日の私も言った」


詩織が小さな声で唱える。


「……パワーオン」


黄色い光が広がり、無数の魔法文字が宙を舞う。


やがて光が収まると、詩織は魔法書を携えた魔法戦士へと変身していた。


詩織は眼鏡を押し上げようとして――そこに眼鏡がないことに気づく。


何度か瞬きをしたあと、周囲を見回した。


「……視力まで良くなっています」


「確認するところ、そこなんだ」


こうして三人目が加わった。


四人目の反応は、商店街で見つかった。


適合者は、花屋でアルバイトをしている明るい少女、花音だった。


事情を聞くなり、花音は目を輝かせる。


「魔法戦士? 衣装かわいい?」


主人公は答えに困った。


「まあ……派手ではある」


「じゃあ、やる!」


「決断が軽い!」


花音は店の裏へ移動すると、さっそくステッキを掲げた。


「パワーオン!」


緑の光が花びらのように舞い、花音の全身を包み込む。


やがて光が収まると、そこには緑を基調とした魔法戦士の姿があった。


変身後の姿を鏡で確認した花音は、大喜びする。


「かわいい!」


主人公は頭を抱えた。


「世界を守る動機が衣装でいいのかな……」


「やる気があるならいいじゃない!」


葵は笑った。


こうして四人目も見つかった。


そして、残る適合者はあと一人。


「あと一人!」


ミナは端末の地図を見ながら張り切っていた。


「この辺りに反応があるよ!」


主人公は腕時計を見る。


「今日は早く終わるといいなあ……」


一行が商店街を歩き始めた、そのときだった。


ピピピピピッ!


端末が、今までで一番大きな音を鳴らした。


「近い! すぐ近く!」


全員が顔を見合わせる。


「え?」


「あっ!」


一斉に振り返った。


すると、すぐ後ろでジュースを買っていた女子高生の前で、端末が激しく光り続けている。


主人公が苦笑する。


「……いた」


女子高生はストローをくわえたまま、きょとんと首をかしげた。


「私?」


ミナは勢いよく駆け寄る。


「あなたが最後の適合者!」


「適合者?」


「うん!」


主人公は思わず笑った。


「探すのに何日もかかると思ってた」


「歩き始めて三分だよ!」


「早すぎる!」


女子高生は事情を聞いても、意外なほど落ち着いていた。


「へえ。魔法戦士になるの?」


「……信じられる?」


主人公が尋ねる。


「信じる」


「え?」


「だって昨日、SNSで空が光ってる動画を見たし」


主人公は固まった。


「……まさか、それ私?」


ミナはそっと目をそらす。


「たぶん……」


主人公は頭を抱えた。


「変身、結構目立ってたんだ!」


女子高生は笑顔でステッキを受け取った。


「じゃあ、やってみる」


「そんなにあっさり!?」


人通りの少ない路地へ移動すると、女子高生はステッキを掲げた。


「パワーオン!」


赤い光がふわりと広がり、エネルギーが全身を包み込む。


やがて光が収まると、そこには赤を基調とした美しい魔法戦士の姿があった。


本人は自分の手や衣装を見て、目を丸くする。


「本当になった!」


ミナは大喜びした。


「やったー! 五人そろった!」


主人公は呆れたように笑う。


「最後だけ簡単すぎない?」


「これでいいの!」


赤い魔法戦士は笑顔で主人公たちを見る。


「私は麻衣。よろしくね!」


主人公はそこで、はっとした。


「そういえば、まだ名前聞いてなかった!」


その瞬間――。


五人が持つステッキが、同時に淡い光を放ち始めた。


五色の光が、互いに呼応するように輝いていく。


ミナは満足そうにうなずいた。


「これで、伝説の五人が全員集合!」


主人公は仲間たちを見渡しながら笑った。


「まさか最後の一人が、ジュースを買ってるところで見つかるとは思わなかった」


五人は顔を見合わせ、思わず笑い合った。


こうして、五人の魔法戦士は、意外なほどあっさりと勢ぞろいしたのだった。


――ただ、一つだけ気になることがあった。


ミナが使っている探索用の端末は、小さな女の子が持ち歩くには不釣り合いなほど大掛かりな代物だった。


それなのに、四人の適合者は驚くほど簡単に見つかった。


学校の体育館。


図書館。


商店街の花屋。


そして最後の一人に至っては、探し始めてわずか三分。


「……この大げさな機械、本当に必要だったのかな」


主人公がぽつりと呟く。


「必要だよ!」


ミナは即答した。


「じゃあ、なんでこんなに簡単に全員見つかったの?」


「…………」


ミナは黙った。


「なんで目をそらすの?」


「き、奇跡だよ!」


「絶対なんか隠してるでしょ!」


「隠してないよ」


「こんなに簡単に見つかるなら他の人でもいいでしょ?私忙しいし」


「しつこいな。絶(・)対(・)に(・)適(・)合(・)者(・)じ(・)ゃ(・)な(・)い(・)と(・)ダ(・)メ(・)な(・)の(・)」


結局、その謎についてミナが詳しく説明することはなかった。


その後。


変身を解いた五人は、近くのベンチに並んで座っていた。


葵が主人公の肩を軽く叩く。


「これから忙しくなりそうだね、リーダー」


主人公は目を丸くした。


「待って。誰がリーダー?」


葵、詩織、花音、麻衣。


さらにミナまで。


全員が一斉に主人公を見る。


「……え?」


ミナが満面の笑みで宣言した。


「みんな一致で、あなたに決まり!」


「いつの間に談合したの!? 私抜きで勝手に決めないでよ!」


夕暮れの商店街に、主人公の叫び声が響き渡った。


こうして――。


世界を守る五人の魔法戦士が、ついにそろったのだった。

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