29話 特別授業みんな楽しみしているのに補習で苦しんでいる人がいる
特別授業が始まって数か月。
昼休みになると、男子生徒たちはいつものように盛り上がっていた。
「今日、特別授業だ!」
「俺は明後日だ! 早く時間にならないかな。」
「次はどんな課題なんだろう。」
みんな楽しそうに話している。
ところが、教室の隅には机に突っ伏している、このクラスで一番かっこいい男子が一人。
「……。」
「おーい、大丈夫か?」
ゆっくり顔を上げると、目の下にはうっすらクマ。
「……もう無理。」
「えっ!?」
「俺だけ毎日あるんだよ……。」
教室がシーン。
「しかも一回二時間。」
「えぇぇぇ!?」
「毎日二時間!?」
彼は力なくうなずく。
「先生が『もう少し頑張ろう』って毎日延長するんだ……。」
「それ、特別授業じゃなくて部活じゃん!」
「いや、部活のほうが休みあるぞ!」
「先生が時計見て『あと五分だけ』って言うんだけど、その五分が三十分なんだよ……。」
「先生あるある!」
「『最後にもう一問』が最後じゃないやつ!」
「『これで終わり』って言ってから四回くらい終わらない!」
みんなが笑う。
彼は机に突っ伏したまま、小さくつぶやく。
「昨日なんて、『今日は早く終わります』って言われて期待したら、一時間五十八分だった……。」
「ほぼ二時間じゃん!」
「誤差が優しい!」
その瞬間、携帯が鳴る。
「放課後の特別授業ですが、補習のため1時間延長します。」
ショックで悲鳴上げた。教室中が一斉に彼を見る。
彼は天井を見上げて両手を広げた。
「……もう笑うしかない。」
クラス全員が大笑いする中、本人だけが「今日は定時で帰りたい……」とつぶやくのだった。




