26話 ついに恋人いない人が私だけになった
昼休み。
廊下から突然、大歓声が聞こえてきた。
「おめでとーーー!」
「付き合ったって本当!?」
主人公は何事かと教室から顔を出す。
「何事?」
すると、友達が興奮気味に駆け寄ってきた。
「隣のクラスの山本くん、彼女できたんだって!」
「えっ!?」
主人公も思わず驚いた。
山本くんといえば、主人公が初めて登校した日に教えてもらった男子だ。
少しぽっちゃりしていて、オタクっぽい雰囲気があり、失礼ながら、いかにも恋愛とは縁がなさそうに見えた。
「昨日、告白してOKもらったらしいよ!」
廊下では拍手が巻き起こり、山本くんは照れくさそうに頭をかいている。
その様子を見ていた一人の生徒が、ふいに口を開いた。
「……ちょっと待って」
周囲が静かになる。
「この学校で、恋人いない人ってあと何人いるんだろう?」
主人公は即座に嫌な予感を覚えた。
「やめようよ、その企画!」
しかし、主人公の制止を無視して、みんなが数え始める。
「一年A組……全員いる」
「一年B組も……全員いる」
「二年生も……全員いるな」
「三年生も……全員」
騒ぎを聞きつけた先生まで、職員室から顔を出した。
「何を騒いでるんだ?」
生徒の一人が答える。
「今、全校で恋人がいない人を数えてます!」
「なんでそんなことしてるの!?」
主人公が叫ぶ。
それから、しばらくして。
一人の生徒が静かにつぶやいた。
「……あ」
全員の視線が、一斉に主人公へ向けられる。
主人公の背中に嫌な汗が流れた。
「……まさか」
「全校で恋人いないの……」
少し間を置いて、
「君だけだ」
主人公は思わず叫んだ。
「全校規模で確認しないで!」
廊下中が大爆笑に包まれる。
友達が笑いながら主人公の肩をたたいた。
「すごいじゃん! ある意味、オンリーワン!」
「そんなオンリーワンはいらない!」
別の友達も続く。
「校内唯一のレアキャラ!」
「ゲームの称号みたいに言わないで!」
すると先生まで苦笑しながら言った。
「まあまあ。人生は人それぞれだから」
主人公はすかさず両手を振る。
「先生までフォローに入らないでください!」
「でも、そろそろ恋人を作りなさい」
「結局、先生まで言うんですか!?」
そのやり取りに、廊下はさらに大きな笑いに包まれた。




