↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したらみんなが恋人いる謎の世界だった。どうして私だけいないの。  作者: まやまや
転生した世界。皆が豊かで平和すぎる世の中だったのに私だけ彼氏がいない。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/164

16話 謎すぎる地図

ニュース番組を見ていると、途中で天気予報が始まった。


画面に映し出されたのは、この国の地図だった。


形は、前世で見慣れていた日本列島によく似ている。


「やっぱり、ここって日本みたいな国なんだな」


主人公は何気なく眺めていたが、すぐに妙な違和感を覚えた。


「……あれ?」


あるはずの場所に、北海道などの大きな島がない。


それだけではなかった。


地図の一部が灰色に塗られ、地名も天気のマークも表示されていない場所がある。


画面の隅には、小さく『空白地帯』と書かれていた。


「空白地帯って何だよ。」


さらに、都市の名前も前世とはまったく違っていた。


県名らしきものも、聞いたことのない名称ばかりだ。


都市の数も、前世の日本より明らかに少ない。


気になった主人公は、すぐに携帯を取り出した。


検索画面を開き、世界地図を表示する。


「さて、この世界の地球はどうなっているのかな……」


地図を拡大した瞬間、主人公は言葉を失った。


大陸の形は前世とよく似ていた。


だが、ところどころが違う。


前世では存在していた島が、丸ごとなくなっている。


海岸線も微妙に変わっていた。


そして世界各地に、国境も都市名も表示されない空白部分が点在している。


「世界地図に穴が開いてるみたいなんだけど……」


空白地帯を押してみても、詳しい情報は表示されなかった。


出てきたのは、たった一文だけだった。


『一般市民の立ち入りは禁止されています』


「怪しすぎる!」


普通なら、歴史や地理について何らかの説明が表示されてもよさそうなものだ。


それなのに、何があるのかも、なぜ立ち入り禁止なのかも書かれていない。


調べれば調べるほど気になったが、今の主人公には知らないことが多すぎた。


ひとまず空白地帯のことは後回しにして、現在地を調べることにした。


住所を入力すると、自宅の位置が地図上に表示される。


「えっ?」


主人公は思わず画面に顔を近づけた。


この家は、なんとこの国の首都の隣町にあった。


しかも、最寄り駅から電車に乗れば、首都の中心部まで約十五分。


「ちょっと待って。めちゃくちゃ立地がいいじゃん!」


主人公は家の中を見回した。


広いリビング。


家族全員にそれぞれ個室があり、小さいながら庭までついている。


前世の感覚なら、首都の中心部まで電車で十五分ほどの場所に、これほど大きな一戸建てを所有するのは簡単ではない。


「この広さと立地なら、二億……いや、三億円くらいするんじゃない?」


主人公は思わず笑みを浮かべた。


「もしかして、この家って金持ち?」


記憶を失ったことには困っていたが、お金持ちの家に生まれ変わったのなら、少しくらい喜んでもいいだろう。


「ラッキー!」


その日の夕食後、主人公は台所で片づけをしていた母に尋ねた。


「ねえ、お母さん。この家って、すごく高かったんじゃない?」


「家?」


「うん。首都の中心まで電車で十五分くらいでしょ? 立地もいいし、家も広いし。土地だけでもものすごい値段になりそうだけど」


母は不思議そうに首をかしげた。


「土地の値段?」


「そう。人気の場所なんだから、高いんじゃないの?」


すると母は、当たり前のことを説明するように答えた。


「この国では、土地はすべて国のものよ」


「……え?」


主人公は手にしていたコップを落としそうになった。


「全部?」


「ええ。土地を買うことはできないわ」


「じゃあ、この家の土地も?」


「国から借りているの」


どうやらこの国では、土地を所有するという制度自体が存在しないらしい。


勤務先や家族構成などに応じて、国が住むための土地を貸し出してくれるという。


もちろん、人気の場所になればなるほど地代は高くなるらしい。


「仕事場に近い地域を優先してもらえるの。通勤に時間がかかると、仕事の効率も落ちるでしょう?」


「ものすごく合理的だ……」


前世では、長時間の通勤に苦しむ人も多かった。


この国では、最初から職場に通いやすい場所に住めるよう調整されているらしい。


「でも、こんな便利な場所なら、住みたい人がたくさんいるんじゃない?」


「もちろん。人気の高い地域は抽選よ」


「やっぱり抽選なんだ」


「この家は三回目の抽選で当たったの」


母は少し誇らしそうに笑った。


「二回外れたの?」


「そうよ。一回目と二回目は、もう少し首都から離れた場所だったわ」


「三回目で、こんな一等地を引き当てたのか……」


主人公は母を尊敬の目で見た。


「お母さん、くじ運が強いんだね」


すると、リビングから父の声が飛んできた。


「お母さんは一度も当たらなかったけどな!」


母が笑う。


「それは言わなくてもいいでしょ!」


どうやら抽選に当たったのは、完全に父の功績らしい。


「土地を買っていないなら、家は安かったの?」


主人公が尋ねると、母は苦笑した。


「建物そのものは高かったわよ」


「やっぱり?」


「でも、ローンはもう払い終わっているから安心して」


「払い終わってるの!?」


まだ三十六歳なのに、これほど大きな家のローンを完済している。


主人公は改めて家の中を見回した。


「やっぱり、この家って金持ちじゃない?」


「普通の家庭よ」


母は笑って答えた。


しかし、主人公の前世の金銭感覚では、どう考えても普通ではない。


首都の中心部まで電車で十五分ほど。


広い一戸建て。


土地は国から借りているため、購入費用はかからない。


住宅ローンも完済済み。


「転生先としては大当たりだ……!」


主人公は心の中で小さくガッツポーズをした。


ただし、世界地図に残された空白地帯の存在だけは、頭の片隅から消えなかった。


島が消えた理由。


都市の数が少ない理由。


そして、一般市民の立ち入りが禁止されている謎の地域。


この平和で豊かな世界には、まだ主人公の知らない秘密が隠されている。


そんな気がしてならなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。