152話 神の世界に再び潜入した
主人公は、再び神の世界へ潜入し、工場に保管されているステッキを奪うことを決意した。
だが、やっぱり転生後は男だった。
しかし、転生したばかりの主人公には、まだ十分な体力がなかった。
神の世界へ向かうには、険しい山を越えなければならない。しかも、武器や食料、潜入に必要な装備を詰め込んだ重い荷物を背負って進む必要がある。
前世では何度も通った道だったが、今の身体では到底無理だった。
そこで主人公は、まず軍隊へ入隊することにした。
目的は出世でも国を守ることでもない。
神の世界へ潜入するための体力と戦闘技術を身につけるためだった。
軍隊では毎日のように走り込みを行い、重い荷物を背負って山道を進む訓練も受けた。銃の扱い方や格闘術、夜間行動、野外での生存方法なども身につけていった。
そして数年かけて身体を鍛えながら、主人公は密かに潜入の準備を進めた。
神の世界へ食料が運び込まれる時間。
輸送経路。
警備の配置。
そして、ステッキが保管されている工場の場所。
前世の記憶と新しく集めた情報を照らし合わせ、何度も計画を練り直した。
やがて、準備は整った。
主人公は前世と同じ方法を使うことにした。
神の世界へ運ばれる大量の食料。その輸送用の荷物の中へ隠れ、検査をやり過ごす。
暗い荷物の中で息を殺して待ち続け、どれほど時間がたっただろうか。
ようやく荷物が倉庫へ運び込まれ、人の気配――正確には魔物の気配が遠ざかる。
主人公は静かに外へ出た。
そこは、前世で見た神の世界そのものだった。
豪華な施設。
人間たちが何も知らずに暮らしている居住区。
そして、そのさらに奥にある巨大な工場。
主人公は昼間は物陰に隠れ、深夜になるのを待った。
午前二時を過ぎたころ。
主人公は工場へ向かった。
夜の工場には働いている魔物の姿はほとんどなかった。
いるのは、入口や通路を巡回している警備の魔物だけだった。
主人公は巡回の間隔を確認しながら、慎重に奥へ進んでいく。
そして――。
ついに、あの部屋へたどり着いた。
そこには、主人公が探し続けていたものがあった。
ステッキだった。
「……あった」
主人公は思わず声を漏らした。
何度転生しても忘れることのできなかった武器。
かつて魔物たちと戦った、魔法少女のステッキ。
主人公は迷うことなく手を伸ばした。
ステッキを握った瞬間、淡い光が主人公の身体を包み込む。
「頼む……今度も使えてくれ」
「パワーオン」
主人公はステッキを掲げ変身したのであった。




