145話 神の世界の学校(3)
主人公は、神の世界では妙にモテていた。
自分ではまったく望んでいないのに、毎週のように誰かから告白される。
美人から、かわいらしい少女、少し変わった性格の相手まで、本当にさまざまだった。
「付き合ってください!」
「いや、悪いけど……」
最初のうちは、ただ断れば済むと思っていた。
だが、本当に困ったのはそこではなかった。
「この学校では、もてる人ほど、一人で行動すること自体が危険だった。」
廊下を一人で歩いていると、突然胸を揉まれる。パンチラされる。
人の少ない場所へ連れていかれそうになったり、無理やりキスされることもあった。
いろんな人に、いきなりトイレへ連れ込まれ、抱かれてしまった。
さすがに主人公も我慢できず、魔物に訴えた。
「どうにかしてくれ! これ、どう考えてもおかしいだろ!」
しかし、魔物の返事は信じられないものだった。
「別にいいんじゃない?」
「よくないだろ!」
「怪我さえしなければ、好きにさせておけばいいわ」
「そんなルールあるか!」
「それに、女の子同士なので、子供はできないので問題はないだろう」
どうやらこの学校では、相手に大きな怪我をさせない限り、魔物たちはほとんど介入するつもりがないらしい。
しかも主人公は反撃することもできなかった。
相手に怪我をさせれば、今度は自分が規則違反として処罰される可能性がある。
だから逃げるしかない。
だが、相手が何人もいれば逃げ切れない。
「……もう一人で歩くのは無理だな」
そこで主人公は考えた。
自分一人で身を守れないのなら――守ってくれる相手と一緒にいればいい。
そうして主人公は、学校でも特に体格がよく、気が強くて、周囲から一目置かれている少女と付き合うことにした。
「つまり、私に守ってほしいってこと?」
「……まあ、そういうことだ」
彼女はしばらく主人公の顔を見つめたあと、にやりと笑った。
「いいよ。その代わり、ちゃんと私の彼氏になってね」
「条件付きかよ……」
こうして主人公には、頼もしい彼女ができた。
それからは、廊下を歩くときも食堂へ行くときも、なるべく彼女のそばを離れないようになった。
主人公に近づこうとする者が現れるたび、彼女が前へ出る。
「この子、私のだから」
その一言だけで、たいていの相手は引き下がった。
主人公はようやく、一人で逃げ回る生活から解放された。
――もっとも。
今度はその彼女が、四六時中主人公の隣から離れなくなったのだが。
「ちょっと待て。トイレくらい一人で行かせろ」
「だめ。危ないでしょ?」
「過保護すぎるだろ……」
結局、神の世界で主人公が自由に一人で過ごせる時間は、減ってしまった。




