144話 神の世界の学校(2)
学校で生活しているうちに、俺にも何人か友達ができた。
もちろん、全員女友達だった。
この学校には女子生徒しかいないのだから、それ自体は不思議でもない。
友達が増え、いろいろな話を聞くようになると、この場所について少しずつ分かってきた。
まず、中学校を卒業しても外へ出られるわけではない。
高校へ進学すると、別の寮と校舎へ移るだけで、基本的な生活はほとんど変わらないという。
授業を受け、決められた服を着て、施設の中で暮らす。
さらに、高校を卒業しても自由にはならない。
卒業した生徒は、この学校とは別の施設へ移されるらしい。
だが、どこへ連れていかれるのかは誰も知らなかった。
そして、もう一つ妙な噂があった。
この学校の生徒の中には、もともと男だった者が混じっているというのだ。
「……元男?」
最初に聞いたとき、俺は冗談だと思った。
思わず周囲を見回す。
教室で話している生徒。
廊下を歩いている生徒。
体育館へ向かう生徒。
見た目だけなら、全員どこからどう見ても普通の女子だった。
誰が元男で、誰が最初から女なのか。
外見だけでは、まったく区別がつかない。
「本当なのか、それ……」
「本当らしいよ。ここへ連れてこられたあと、身体を変えられた人がいるんだって」
その話を聞いて、俺は自分のことまで不安になった。
部屋へ戻ってから、鏡の前でもう一度自分の身体を確認してみる。
何度見ても、今の俺は完全に女性の身体だった。
少なくとも、自分がここへ来てから身体を変えられた記憶はない。
ならば、俺は最初からこの姿だったということなのだろうか。
考えても答えは出なかった。
それよりも気になったのは、高校を卒業したあとのことだった。
中学三年。
高校三年。
ここへ来た年齢を考えれば――。
「……十八歳までは、生きられるってことか」
俺は小さく呟いた。
そして、嫌な想像が頭をよぎる。
高校三年を終えたあと、生徒たちは別の場所へ移される。
行き先は誰も知らない。
戻ってきた者もいない。
だったら――。
「卒業したら……出荷されるんじゃないか?」
自分で口にした瞬間、背筋に寒気が走った。
魔物たちが、何の目的もなく人間をここで養っているとは思えない。
もしそれが、俺の想像どおりなのだとしたら。
この学校は教育施設なんかじゃない。
俺たちは十八歳になるまで育てられているだけなのかもしれない。
そう考えた瞬間、楽しそうに笑う生徒たちの姿さえ、まるで別のものに見えてきた。




