12話 転生したら母の料理はプロ級でうまかった
自宅に帰ってきた主人公は、初めて家で食事をする。母が作ってくれたのだ。
母が作るってくれる料理は、まるで一流レストランの料理人が作ったようにおいしかった。
しかも、ただ味が濃くておいしいだけではない。野菜もたっぷりで、栄養のバランスまで完璧だった。揚げ物を食べても胃が重くならず、デザートまで食べたのに罪悪感が残らない。
もはや料理ではなく、健康診断に合格できる魔法だった。
「お母さん、昔、料理人だったの?」
主人公が聞くと、母は得意そうに胸を張った。
「違うわよ。名門の家庭専門高校を卒業したの」
「家庭専門高校?」
「料理や栄養学、掃除、洗濯、家計管理、育児まで勉強する学校よ。卒業するころには、料理の腕前はプロ級になるの」
「高校でそこまで習うの!?」
「この国では、女性の4割から5割くらいが専門高校に進学するわね」
女性の大体二人に一人弱が、卒業と同時に家事の即戦力になるらしい。
高校というより、家庭生活のプロ養成機関である。
「でも、どうしてそんなに料理を頑張るの?」
主人公が尋ねると、母は少し声を落とし、重大な秘密を教えるような顔をした。
「料理がおいしければ、お父さんは毎日必ず家に帰ってくるのよ」
「犬みたいな習性で説明しないで!」
ちょうどそのとき、玄関の扉が勢いよく開いた。
「ただいま! 今日の夕飯は何!?」
父が靴を脱ぎながら、ものすごい速さでリビングへ飛び込んできた。
「今日は煮込みハンバーグよ」
「よし! 残業を断って帰ってきた!」
「仕事よりハンバーグを優先したの!?」
母は満足そうにうなずいた。
「これが夫婦円満の秘訣よ」
円満というより、完全に胃袋を人質に取っていた。




