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転生したらみんなが恋人いる謎の世界だった。どうして私だけいないの。  作者: まやまや
転生したら男でした。

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114/164

114話 弟の小学校卒業試験(1)

弟は、毎日勉強していた。


小学六年生。


もうすぐ、小学校卒業試験があるからだ。


学校から帰ると、すぐに机へ向かい、学習用タブレットを開いた。夕食の時間になっても勉強をやめようとしない。


両親は高い料金を払って、家庭教師まで雇っていた。


弟はもともと勉強が得意ではない。


前回の進級試験も、合格点ぎりぎりで、なんとか六年生へ進級できたほどだった。


しかし、どれだけ勉強しても、弟の成績はなかなか上がらなかった。


家庭教師が帰ったあと、母は毎晩のように弟のタブレットを開き、その日の学習記録を確認していた。


解いた問題はすべて自動保存され、正解率や間違えた問題まで一覧で表示される。


母は画面を指さした。


「この問題、昨日も間違えていたでしょう」


「……ごめんなさい」


「謝るだけじゃ駄目なの。小学校卒業試験に落ちたら、神の世界へ行くことになるのよ」


母は弟の肩をつかみ、強い口調で言った。


「二度と、私たちと一緒に暮らせなくなるの。お父さんにも、お兄ちゃんにも会えなくなるかもしれないのよ」


弟は泣きそうな顔でうなずいた。


「分かってる。ちゃんと勉強するから……」


それから弟は、さらに必死になった。


朝は一時間早く起き、登校前にもタブレットで練習問題を解いた。


画面に専用のペンで答えを書き込むと、その場で自動採点される。


間違えるたびに解説が表示され、似た問題が次々と出題された。


休みの日も友達とは遊ばず、家庭教師から送られてきた課題を何度も繰り返した。


それでも、試験当日の弟の顔は青ざめていた。


「大丈夫だよ」


主人公は玄関で弟の頭をなでた。


「今まで、ずっと頑張ってきたんだから」


「うん……」


弟は笑おうとしたが、その口元は震えていた。


数日後。


試験結果が発表される日、家族全員がリビングに集まっていた。


弟はソファの中央に座り、両手でタブレットを握りしめていた。


母はその隣で祈るように手を組み、父は黙ったまま窓の外を見ている。


午後六時。


タブレットが短く震えた。


画面に通知が表示される。


弟は、しばらく指を動かせなかった。


「早く開きなさい」


母に促され、弟は震える指で通知を押した。


画面いっぱいに文字が表示された。


――小学校卒業試験結果。


その下に書かれていたのは、たった四文字だった。


『不合格』


誰も声を出せなかった。


弟は画面を見つめたまま、固まっていた。


「……うそ」


やがて、かすれた声が漏れた。


「もう一回、試験を受けられるんだよね?」


母は答えなかった。


「追試があるんでしょう? 僕、次はもっと頑張るから」


弟は母の服をつかんだ。


「ゲームもしない。友達とも遊ばない。毎日ずっと勉強する。だから……」


「ごめんなさい」


母は弟を抱きしめた。


その声は震えていた。


「小学校卒業試験に、追試はないの」


「そんな……」


次の瞬間だった。


弟の携帯が、淡い青色に光り始めた。


普通の通知ではなかった。


画面だけではない。


端末そのものが、内側から発光しているかのように青白く輝いている。


主人公は、その光を知っていた。


神の世界からの迎えが来たときにだけ現れる光だった。

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