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転生したらみんなが恋人いる謎の世界だった。どうして私だけいないの。  作者: まやまや
転生したら男でした。

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112/164

112話 この国の国家予算(1)

テレビのニュースで、今年度の国家予算が決定したと報じられていた。


主人公は何となく画面を眺めていたが、表示された予算の内訳を見て、思わず目を止めた。


項目金額割合

子育て・子作り支援5兆6,520億円22.0%

医療2兆円7.8%

保健・雇用対策など1兆3,160億円5.1%

社会保障計8兆9,680億円34.9%

地方交付税6兆6,800億円26.0%

公共事業2兆4,400億円9.5%

教育・科学技術2兆4,000億円9.3%

防衛費1兆2,000億円4.7%

その他・予備費・農業・エネルギー等4兆120億円15.6%

国債費0円0%

歳出合計25兆7,000億円100%


「……子育て・子作り支援、5兆6,520億円!?」


主人公は思わず画面を二度見した。


この国の人口は約4,000万人しかいない。


それなのに、国家予算の二割以上が、子育てや子作りの支援に使われているのだ。


人口一人あたりで単純計算すると、子育て・子作り支援だけで年間約14万1,300円。


国家予算全体では、一人あたり年間約64万2,500円になる。


「子ども関係、めちゃくちゃ手厚いな……」


だが、主人公をさらに驚かせた項目があった。


――国債費、0円。


「えっ? 借金の返済がないの?」


ニュースでは、その理由についても説明されていた。


この国では新規国債をほとんど発行しておらず、政府債務もほぼ存在しない。


そのため、基本的にはその年度に入ってくる税収やその他の収入だけで、国家予算をまかなっているという。


つまり、ほとんど借金に頼らない財政運営を続けているのだ。


主人公は少し考え、やがて納得した。


「……ああ、そうか」


この世界には高齢者がいない。


一定の条件を迎えた人間は、みんな神の世界へ行ってしまう。


そのため、年金制度そのものが存在せず、介護に必要な費用もほとんどない。


年齢を重ねるほど増えやすい医療費についても、高齢者がいないため大幅に抑えられている。


前世の国なら国家財政の大きな負担になっていたはずの支出が、この国にはほとんど存在しないのだ。


一方で、保健・雇用対策にはかなり大きな予算が割かれていた。


この国では勤労が国民の義務とされており、仕事が見つからない場合には国が仕事を用意する。


働ける人間は、原則として必ず何らかの仕事に就かなければならない。


その一方で、失業保険という制度は存在しなかった。


主人公は最初、そのことを不思議に思った。


失業者にお金を支給しないのに、なぜ雇用対策には1兆円以上もの予算が必要なのか。


だが、少し考えて、その理由に気づいた。


「そうか……失業者にお金を渡すんじゃなくて、国がお金を出して仕事そのものを作ってるのか」


つまり、失業した人間を給付金で支えるのではなく、国や地方自治体が雇用そのものを生み出しているのだ。


公共施設の管理、清掃、インフラの点検、農業支援、行政補助など、人手が必要な仕事を国が用意し、そこへ働き手を割り当てる。


だから失業保険がなくても、雇用対策には多額の予算が必要になる。


そして、この国の社会保障の中心になっているのが、子育て・子作り支援だった。


「……そりゃ財政も軽くなるわな」


前世の国なら巨額の支出になるはずの年金、介護、高齢者医療、そして国債費。


それらがほとんど存在しない。


その分のお金を、子育てや教育、地方行政、公共事業などへ回すことができるのだ。


人口約4,000万人の国で、年間の国家予算は25兆7,000億円。


しかも、国の借金はほぼゼロ。


主人公はテレビを眺めながらつぶやいた。


「税金が安いのも納得だわ……」


この世界で暮らし始めてから、主人公はずっと不思議に思っていた。


税金は安い。


物価もそれほど高くない。


それなのに、子育て支援や公共サービスは妙に充実している。


その理由が、ようやく少し分かった気がした。


だが――。


主人公はふと、別の疑問を抱いた。


「……待てよ」


これだけの予算を、いったいどうやって集めているのだろう。


国債をほとんど発行していないのなら、毎年25兆7,000億円もの歳出をまかなえるだけの収入が、どこかから入っているはずだ。


所得税。


法人税。


その他の税金。


それだけで、本当に足りるのだろうか。


しかも、この世界は消費税もない。


主人公は画面を見つめながら、ぽつりとつぶやいた。


「歳出は分かったけど……歳入は?」


気になり始めると、もう止まらなかった。


主人公は携帯を手に取ると、そのまま国の年間収入――歳入の内訳について調べ始めた。

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