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転生したらみんなが恋人いる謎の世界だった。どうして私だけいないの。  作者: まやまや
転生したら男でした。

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106話 年越し授業

そして――。


すき焼きを食べ終えたあと、主人公は本当にお兄ちゃんの部屋へ連れていかれた。


「……本当にやるの?」


主人公が時計を見る。


午後十一時。


お姉さんは笑顔でうなずいた。


「もちろん。今日は年末特別授業よ」


「そんな特別いらない!」


授業中、おねいさんが言った。


「なんか、このベッド狭いわね」


ベッドのサイズはセミシングルだった。


「当たり前でしょ。一人で寝るだけなんだから、これで十分だよ」


主人公がそう答えると、お姉さんは何も言わずに携帯を取り出し、何やら操作し始めた。


「……何してるの?」


「ベッド、注文しといたわよ」


「はぁ!? これで十分だって!」


「何言ってるの。今後必要になるでしょ?」


お姉さんは当然のように言う。


主人公は嫌な予感がして、すぐに釘を刺した。


「絶対、授業はここではやらないからね」


「あら、残念」


「残念がるな!」


授業はなかなか終わらなかった。


十一時半。


十一時四十分。


十一時五十分。


テレビのあるリビングからは、年越し番組の楽しそうな声が聞こえてくる。


主人公は何度も時計を見た。


「あと十分で年越しなんだけど……」


「集中して」


「年越しくらい家族と過ごさせて!」


「ご家族も応援しているわよ」


その直後、廊下の向こうから父親の声が聞こえてきた。


「授業、最高だろ? めちゃくちゃ気持ちいいだろ?」


母親の声も続く。


「あと少しよー! 頑張れー!」


主人公は机に突っ伏した。


「なんでそっち側なの……」


そして、午後十一時五十九分。


主人公は期待を込めて顔を上げた。


「さすがに、もう終わりだよね?」


お姉さんは時計を見る。


「そうね」


主人公の顔がぱっと明るくなる。


「じゃあ――」


「次の課題に入りましょう」


「年またぐの!?」


その瞬間、リビングのテレビから大きな声が響いた。


『五! 四! 三! 二! 一!』


主人公も思わず叫ぶ。


「待って待って待って!」


『あけましておめでとうございます!』


外から除夜の鐘の音が聞こえてきた。


ゴーン……。


主人公はベッドの上で新年を迎えた。


隣には、満面の笑みを浮かべたお姉さん。


「明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いしますね」


主人公は震える声で答えた。


「新年最初に見る顔があなたなの……?」


「光栄でしょう?」


「全然!」


こうして主人公は――。


年越しの瞬間まで特別授業を受けることになった。


しかも、授業が終わったのは午前零時三十分。


主人公にとって、新年最初の三十分は――。


お正月でもなく。


初詣でもなく。


おせちでもなく。


子ども家庭庁のお姉さんによる特別授業だった。


「今年こそ逃げてやる……」


主人公は静かに決意した。


その横で、お姉さんは端末を確認しながら微笑んだ。


「では、次回は一月二日ね」


「俺の正月休み、どこ行った!?」


その後、主人公の自宅に新しいベッドが届いた。


届いたのは、まさかのキングサイズ。しかも、有名メーカーの高級品だった。


主人公は、部屋に運び込まれていく巨大なベッドを見て唖然とする。


「……でかすぎるだろ、これ」


主人公の部屋は十畳あるため、決して狭いわけではない。


しかし、キングサイズのベッドを置けば話は別だった。かなりのスペースを占領され、今まで広々としていた部屋が一気に狭く感じられる。


「せっかく十畳もあるのに……これじゃ部屋が狭くなるじゃん」


主人公は、すっかり存在感を増した巨大なベッドを前に、深いため息をついた。

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