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異世界×科学は無双の予感。  作者: 水滴
【第二章】灼熱の体育祭編
14/18

実力主義の入学試験。

 今回から第二章です!

 国王の発表から一週間が経った今日。

 学院の入学試験の日だ。


「おはようございます、ソウタさん」

「おはよう。アイリス。今日も早いな」


 アイリスは家に住み始めてから毎日、早起きをしてエルモアに料理を教えてもらっていた。


「今日は東の国で有名な『お米』の使い方を教えた貰ったんです」

「おお、米か。懐かしいな」

「ソウタさんは東の国の生まれなんですか?」

「まぁ、そんなところだ」


 国名は日本というがな。


「さ!温かいうちに食べてくださいね」

「ああ、頂くよ」


 アイリスが作るご飯は元々美味いのだが、エルモアが教えているだけあり、日に日にもっと美味くなっていく。

 料理の才があるのだろうか。


「今日は入学試験ですね」

「そうだな。アイリスも準備はできているか?」

「はい、もちろんです!絶対に選抜クラスに入って見せますよ」

「俺はそう甘くは無いからな。全力で来い」




 俺は昨日まで、学院長として他の教師達と入学試験の内容について話し合っていた。


「正直、魔族に対抗するために将来の騎士団員や魔導士団員を育てる訳ですから、筆記試験は必要とは思わないのですが」

「しかし、最低限読み書きが出来なければ、魔法の授業などが理解出来ません」

「それなら、面接式にしてそこで読み書きが出来るか判断するのはどうでしょうか?」

「ふむ。それなら問題ないが、国王の言い方を見れば大勢の入学希望生が来るだろう。面接式では、一日で見きれなくはないか?」


 人口の比率から考えても、最大1万人が来てもおかしくないレベルなのだ。それを面接など、集団面接だとしても難しいだろう。


「そこで提案なのだが、〈ステータス〉を使用して、個々の能力値を見るのはどうだろう」

「しかし学院長、〈ステータス〉はギルドに所属していなければ使えない魔法。全員にギルドへ所属してもらうなど、それこそ無理な話では無いですか?」

「いいや、出来ると思うぞ。俺はギルド(マスター)と少し交流がある。登録用水晶を大量に借り、それを受験のための手続きとすれば、効率よくできるのでは?」

「そうか、その場でステータスを把握して、能力別に試験場所を変えれば!」

「そういう事だ。皆、どうだろうか」

「「「異議なし」」」

「では、俺は早速ギルド長の所へ行ってくる。試験会場の設備は任せたぞ」




 そこまで忙しかった訳ではないが、それなりに準備には手を入れた。

 それに、前世ではアルバイトもしていなかった俺からしたら、これは初仕事なのだ。


「さて、学院まで一緒に行くか?」

「はい!すぐに準備してきますね!」


 朝食を食べ終わったアイリスは笑顔で自室に戻ると、動きやすそうな服に着替えて戻ってきた。


「そういえば、アイリスは武器を使わないのか?」

「ええ。元々筋力が無いもので。魔法は小さい頃から教わっていたので、ある程度は使えます」

「そうか。俺は剣の方は力任せに振っているだけだからな。魔法の方ならいくらでも教えられるぞ」

「本当ですか!では学院での担当教科も?」

「魔法系の物が多いな」


 アイリスは目をキラキラさせてこちらを見てくる。


「いや、まずは今日の入学試験からだぞ?」

「わ、分かってますよ」


 俺達はクレス達に声をかけてから家を出た。


「やっぱり今日は人が多いですね」

「間違いなく入学試験のせいだろうな」


 一応準備はしているが、人数の問題は大丈夫だろうか。


「ソウタさんは試験監督をなさるんですか?」

「ああ、〈ステータス〉値が一番高いグループを担当することになった。イレギュラーが無い限りは選抜クラスはそこから出るだろうな」

「そ、そうですか...〈ステータス〉値では、神に祈るしかないですね」

「まあ、〈ステータス〉値が低くても、その後の成績が良ければ選抜に入れる。重要なのは力ではなく力を上手く使う事だからな」

「はい!頑張ってみますね!」


 学院には屋敷から歩いて15分ほどで着いた。

 正門には、『グレイス騎士魔導学院』という文字が大きく書いてある。


「俺はこれから裏から試験会場へ向かう。アイリスはそこの受付で登録してからだ」

「分かりました。やっぱり、覚悟していても緊張するものですね」

「大丈夫だ。アイリスが落ちることはまずあり得ない。落ち着いてやればいいだけだ」

「はい、全力でぶつかってみます!」

「ああ、頑張れよ」


 俺はアイリスと別れ、〈ステータス〉値Aランクの試験会場に来た。


 学院には何個も校庭のような施設がある。

 そのそれぞれの場所で試験が行われる。

 実戦形式の授業ができるように、強力な結界が張ってあるため、試験には持ってこいだ。


「もう数人集まっているのか」


 施設の中央には、数人の男女がいた。


 このAランク会場には、[能力レベルの平均がLv.3以上]・[特別な称号の所持]・[何かの魔法適性Lv.5以上]など、いくつかの条件のうち一つをクリアしていなければならない。

 この場に居るという事は、その条件のどれかを満たしているという事だ。


 すると、入り口の方からアイリスが入ってきた。

 どうやら条件をクリアできたようだ。


 しかし、ここでは俺も試験官。声をかけることは出来ない。


 アイリスはそれとなく俺に笑顔を向けてきたので、俺もそれとなく笑顔を返しておいた。



 それから数十分経ち、試験の開始時間となった。


「受験生の皆、おはよう。Aランクの試験監督を務める、ソウタ・ミカヅキだ。よろしく頼む」


 最終的に集まったのは約40人ほど。最後に受付の者が全員の〈ステータス〉をまとめた表を渡しに来たが、俺は自分以外の〈ステータス〉をあまり見たことが無いので、どのレベルなのかが分からなかった。


「このグレイス騎士魔導学院の入学試験では、それぞれのグループの試験監督者が試験内容を決める権利がある。このAランクの試験は、『(One)(on)(One)』。俺との一騎打ちだ。もちろん皆が俺に勝つのは無理な話。見るのは戦い方のセンスなどだ。全力でぶつかってこい」


 俺は施設の端にある木剣や木槍がある方を指を差した。


「事故があって怪我をされるのは困る。武器を使う者はあれを使え。魔法なら、この施設には結界が施してある。気にせず使ってよいぞ」

「学院長、質問してもいいでしょうか」

「なんだ?」


 もう俺の顔はバレているのか。それとも名乗ったせいか。


「自分は、創造神ジェネシスの加護を受けており、自分で剣を作り出すのですが、それは使っても良いのでしょうか」

「ふむ、そうだな。それなら、全武器の使用を許可しよう。使い慣れている物の方がいいという者もいるだろう。皆の怪我には俺が注意する。俺も少し力を入れる。皆も手加減は不要だ」


 ジェネシスの加護か。

 そういえば、この国ではあいつが信仰されているんだったか?

 それにこいつの称号.....面白そうだな。


「よし、受験番号順に来い。出番までは端にいるように。危険だと判断したら結界の外に出ろ」


 まぁ、そこまでは無いと思うがな。


「あ、一番って俺かぁ?」

「ふむ...お前は...」


 他の者より大きい体をしているその男は、資料で見た。

 特筆しているのは、筋力、魔力量がLv.5、火属性の魔法適性がLv.6、だったか。


 態度だけを見ると、俺が得意なタイプでは無いな。


「俺はアーブ。学院長さんよぉ、本当に手加減しなくていいのか?」

「ああ。問題ない。それと、俺を倒せるとでも思っているなら、さっさとこの場から立ち去れ」

「ほぉ、言うじゃねぇの。じゃ、もし俺があんたに勝ったら、選抜に入れるってことでどうだ?」

「好きにしろ。俺はお前の技量を見るだけだ。安心しろ。別に勝てなくても強ければ選抜に入れてやる」

「はっ。そりゃ嬉しいこった」


 アーブは素手。魔導士だろうか。


「そんじゃ、行くぞっ!」

「ほう。武闘家だったか」


 アーブは素手のまま俺に突っ込んでくる。


「〈炎拳(カフトース)〉!」

「なるほど。〈ステータス〉に見合った戦い方だな。しかし、相手が格上の場合、それでは瞬殺されておしまいだぞ?」


 俺はその場から一歩も動かず、魔導書(グリモア)も剣も抜いていない。


「甘く見んなッ!」

「それはこちらのセリフだ」


 アーブが俺に燃える拳を突き出すと、それは吸収されるかのように俺の目の前で勢いを失った。


 俺が創り出したのは、耐震などで使われている素材を透明化したもの。

 地の揺れに対抗するために作られて物がただの拳程度で破られることはまずない。


「さっきまでの勢いはどうしたんだ?」

「ックソが...」


 アーブは諦めずに何度も殴るが、回数を重ねたところで何か変わるわけではない。


「お前の悪いところは、簡単に言えば単細胞なところだ。考えなしにパワーで勝とうとしている。そんなものが通用するなら、世の中大変な事など無いな」

「っるせぇ!」

「何か応用する事はできないのか?この最悪の状況を打破する何かがお前には必要だろう?」

「んな事言ったってなぁ」

「それなら、俺のこの防御をよく観察しろ。性質を見極めて対抗策を練る。これは戦いの基本だ」

「性質...」


 この防御壁の特徴は、衝撃を吸収する上、耐熱性にしてある。

 それなら、この防御壁の弱点はどこか。

 それは、衝撃を()()()ではなく()()するという所だ。

 つまり、衝撃を緩和させることによって防御を成り立たせている。

 それなら、衝撃が緩和されないようにすればいい。

 必要なのは強さではなく鋭さ。研ぎ澄まされた薄さや細さが必要なのだ。


「...そういう事か...」

「分かったか?やってみろ」

「ああ」


 ...案外素直なんだな、こいつ


「〈炎拳(カフトース)〉!」


 今度はさっきと違い、突きの形だ。

 手の先の面が狭くなるように調整している。


「うむ、それで突いてみろ」

「はぁぁぁ!!!!!」


 アーブが突き出した右手は、俺の防御壁を抜け、俺の横腹にまで突き刺さっていた。


「お...おい、大丈夫か!?」

「良い攻撃だな。少しは成長したのだろう...が、まだまだだ」

「...!?なんだと!?」


 アーブが突き刺していたはずの俺の体がどろどろと溶け、床の土と同化していく。


「それは分身だ。まあ、俺の分身の防御を破ったのだ。誇っていいと思うぞ」

「そ...そんな...」


 俺は最初の方で分身と入れ替わり、待機をしていた他の受験生の所で解説をしていた。


「アーブ、お前に合格を言い渡す。圧倒的に考察力が足りない為、選抜に入れるわけにはいかないが、二年次に上がる時にそれが解消されて入れば選抜もあり得る。研鑽に励め」

「は...はい...なんか、舐めた口きいてすみません」

「気にするな。俺はそういうのが嫌いだが、治してくれるなら問題ない。これからは生徒だ。俺が言えたことではないが、協調性は大事だぞ」

「はい、ありがとうございました」

「帰りに事務所で書類を発行してもらっていけよ」

「分かりました」


 ふぅ、これでやっと一人か。

 一体全員で何時間かかる事か...

 もっと簡易的な試験にすべきだったか。


「はぁ...次、二番の者、さっさと始めるぞ」











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