表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界×科学は無双の予感。  作者: 水滴
【第二章】灼熱の体育祭編
15/18

勇者の称号とアイリスの実力。

 俺は十数人の受験生を見たが、中々筋がいい者が6、7人いた。

 もちろん選抜クラスへ招待した。


「さて、次は誰だ?」

「自分、ですね」

「ああ、お前は」


 最初に質問をしてきた男だ。

 見た目は優しそうで静かな雰囲気があるが、〈ステータス〉を見れば一目瞭然。

 この中でもトップクラスの実力がある。

 先ほど言っていたジェネシス、つまり創造神の加護Lv.7と...


「称号、【勇者】か」

「一応、勇者ですね」


 勇者、と言えばあれだろう?物語の主人公だったり、世界最強と言われたりするあれだろう?

 あまりゲームやライトノベルを読まない俺でも知っているほどだ。ただ者ではあるまい。


「しかし、あまり有名でも無いようだな?」

「ははは、そう言われても仕方ありませんよ。まだ力のコントロールがままならない状態でして」

「そうか、それは学院でも鍛えがいがあるな」

「そういってもらえれば楽になりますね」


 喋りながらも、彼は右手と左手に聖属性のオーラを放つ剣を創り出した。


「エル・ガングラムです。どうかお手柔らかに」


 にこやかに笑顔を見せたと思えば、剣を持つ手に力を入れ、先ほどとは比べ物にならないような殺気のようなものを放つ。

 エルは二本の剣を構えて重心を前に押し出す。

 その瞬間、エルは消えた。

 否、()()()()()()見えた。


「ハァッ!!!」

「ほう、速いな」


 一瞬で俺の後ろに回り込んだエルは、その二本の剣で俺に斬りかかるが、ギリギリで俺は剣を抜き阻止する。

 エルは瞬時に下がり、先ほどとは違う形で剣を構える。


「光桜二刀流・壱ノ型〈飛光(ひこう)〉!!」


 彼の二本の剣から、飛ぶ光の斬撃が撃たれる。

 それを俺は正面から斬り伏せる。


「さすがだな、勇者」

「はは、あの光速の斬撃を所見で斬るとは。さすがは英雄ですね」


 ある程度実戦経験があるだけだと思っていたが、大間違いだった。

 エルは元々勇者という称号がある故か、昔から鍛錬を積んできたのだろう。


「ふむ。では俺も少し本気を出そう。死ぬなよ」

「ええ、多分」


 俺は一度剣を鞘に戻し、収納空間から魔導書(グリモア)を取り出す。


「何ですか...?そのヤバそうな本は。どこかのアーティファクトですか?」


 今までも魔法は少し使ったりしていたが、所詮俺が魔法陣を覚えている範囲の魔法。

 魔導書(グリモア)に記録している量とは比にならない。


「〈火弾(ファイア・バレット)〉七連」

「こ...これ本当に〈火弾(ファイア・バレット)〉ですか...?」


 七つの巨大な青い炎の弾がエルを襲う。


「光桜二刀流・壱ノ型〈飛光(ひこう)〉四連ッ!」

「ほう。剣技を連続使用できるとはな」


 エルは二刀流の特徴である繋げる攻撃を生かし、七つの弾を斬りきる。

 そして、あまった一つの斬撃が俺の方に向かってくる。


「〈創造(クリエイション)〉ボラゾン」


 ジェネシスの加護からくるスキル、〈創造(クリエイション)〉。

 俺が創り出したのは、『ボラゾン』という物質でできた盾。前の世界では、ダイヤモンドに次ぐ強度を持っており、ホウ素と窒素を1800度以上で加熱することでできる、人口の物質だ。


 普通に作ろうとすれば、1800度以上で加熱する際に時間がかかるので、スキルを使った。


「創造のスキル...ですか。あなたも創造神の加護をお持ちでしたか」

「まぁ、成り行きでな」

「いえ、創造神の加護は成り行きで手に入るものではありません。あなたも、この世界に必要不可欠な人間ということですよ」

「そんな意味があったのか。俺はそういう事には詳しく無くてな」

「そうでしたか。すみません、余計な詮索はマナー違反でしたね、すみません」

「いや、別に気にしなくて良い。お前はこの戦いに集中しろ」


 そうだな。一度落ち着いたら教会へ行ってジェネシスに聞いてみるか。


「〈光桜二刀流・肆ノ型〈光突(こうとつ)〉」


 今度は剣の切っ先を俺の方へ向ける。

 名前からして、一点突撃だろうか。

 しかし、それでは二刀流の利点を潰してしまう。二刀流の流派がそのような技を作るだろうか。


「〈()〉ッ!!!」

「な...!?」


 エルの声と同時に、剣の切っ先から()()が俺に向かって一直線に放たれる。


「自分が使う『光桜二刀流』は、世界で見ても珍しい遠距離系の流派。そしてその技で使う光属性の適性はLv.6。あなたにも引けを取らないと思いますが...どうでしょうか?」

「さっき一発喰らっていたとはいえ、ボラゾンの盾を突き破るのは至難の業。それも離れた位置から。お前は間違いなく選抜クラスに入れる。しかし、ここで終わらせるのは味気ないだろう?」

「まぁ、そうですね(今どうやって〈光突〉を防いだんだ?あの盾で勢いを削られていたとはいえ、ノーモーションで止めることは出来ないはずなのに...)」

「では、俺が終わらせよう。お前の強さに見合う技で」

「ははは...殺さないでくださいよ...?」


 俺は別段負けず嫌いな訳では無いが、相手につまらない思いをさせるのはこちらも面白くない。

 相応の技をお返しせねばな。


「お前が得意な光属性の技だ。お前もこの学院を卒業する頃には使えるようになるだろう」


——〈時光の檻(クロノスケージ)〉——


「...!?」

「どうだ?動けないだろう?」


 俺はエルの周りに時を断絶した球を創り出し、彼を時の檻に閉じ込めた。

 今は時の流れを約5倍ほどに感じているはずだ。


 少しした後、俺は魔法を解いた。


「ひ...ひどいですね。すぐ解いてくれればよかったのに」

「いやな、魔法の威力を身を持って体験してもらいたくてな」

「というか、何ですか?あの魔法。見たことも聞いたこともありませんよ」

「ま、俺が創ったからな」

「んな...常識はずれな」


 原理としては、魔力で範囲内で光速以上の速度を出し、時の進みを調節しているという事だ。

 光速より速く動けば時間を遡れるというのは有名な話だが、それを調節すれば好きなだけ時間を弄れるという事だ。

 もちろん代償はある。

 範囲内で光速以上を出しているため、空間に歪みができる。それにより自分が少なからずダメージを負うのだ。しかし、慣れればその歪みも魔力で消すことが出来る。もちろんその魔力も少なくないが。


「ひとまずエル、お前を選抜クラスに招待する。剣に纏わせていたのは聖属性の魔力だな?聖属性が使える者は魔族に対抗するには必要な人材だ。これからよろしく頼むぞ」

「はい。あの魔法、教えてくださいね」

「時が来たらな」


 これで8人目の選抜入りだ。今までの確率としては三分の一程だろうか。

 〈ステータス〉が良いからと言って強いかと言えばそれは違う。

 まぁ、鍛錬すれば強くはなるが、それは〈ステータス〉が良くない人間も同じだ。

 成長率が同じとは限らない。難しい世界だな。


「次の者...って、アイリスか」

「は、はい!よろしくお願いします!」


 俺は今もアイリスと同居しているが、彼女が練習をしているところを今まで見たことはない。

 別にアイリスに見るなと言われた訳でもなく、俺が敢えて見なかった訳でもない。

 丁度時間があっていなかったのだ。

 暇があればアイリスの練習に付き合おうと思っていたのだが、それは他の受験生と不平等になる、と断られてしまった。


 王女という事もあって、さきほど待機している場所では目立っていたが、彼女は緊張のせいか、気が付いていない様子だった。

 今もあまりリラックスできていないようだ。


「アイリス、緊張する必要はない。〈ステータス〉を見させてもらったが、基礎レベルがしっかり上がっている。それに、魔法行使のLv.8はこのAグループ内でも断トツで一位だ。落ち着いて来い」

「ソウタさん...はい!頑張ってみます!」

「よし、その勢いだ。それと、ここでは先生だぞ?」

「あ...すみません、ソウタ先生」

「まぁいい。始めるぞ」


 俺はアイリスから10メートルほど離れた場所に立つ。

 まだ剣も魔導書(グリモア)も出していない。

 アイリスの方は、腰にしまっていた杖を出し、俺に向かって構える。


「行きます。〈水砲爆(ネローディウス)〉!」


 アイリスは大きな水の球を創り出し、俺に放つ。


「ふむ。速度はあるが、この程度では斬れば済むも..の.....!?」


 俺は瞬く間に剣を抜き、その水球を斬ったが、それだけでは無かった。

 中に忍ばせてあったのは起爆装置。俺は気づかずに真っ二つにすると、中心部にあったそれが物凄い勢いで爆発する。


(うま)い。アイリス、これは誰に教わったんだ?」

「昔、メイシュさんに稽古をつけてもらっていた時期があったんです。そこで教えてもらった魔法です」

「なるほど、メイシュか。それなら分からなくないな」


 しかし、これはアイリスの腕があったこその魔法だ。

 あの起爆装置は衝撃に反応して爆発するもの。それをあの水の球の中に隠した上で、衝撃を最小限に抑えながら俺に向かって放ち、自分が被爆しないギリギリの強さにしてある。

 俺が言うのもなんだが、素晴らしい才能だ。


「よし、ではこちらから行くぞ。〈炎波(ネフレクション)〉」


 俺は文字通り炎の波をアイリスに向けて流す。

 先ほどのアイリスの攻撃程速度は無いが、広い範囲がある。これには安定した防ぐ力が必要だ。


「くっ...〈土輪壁(ソルベー)〉!!」


 アイリスは自分の周りに土でできた壁を創る。

 もちろんそれならば炎の波を防げる。しかし、


「しかし、それでは俺に攻撃しろと言わんばかりだぞ?」

「・・・」


 アイリスはまだ壁を壊さない。どういう狙いだろうか。


「では、遠慮なく行かせてもらおう。この程度では到底選抜には入れないぞ」


 俺は自分の筋力で高く飛び、輪の形をした壁の真上に行く。

 中は暗くなっており、アイリスの姿がよく見えない。


「しっかり防御しろよっ!」


 俺はそのまま重力に任せて剣を振り下ろす。


 しかし、そこにアイリスはいなかった。


「ほう。そういう事か」

「そういう事ですよ!」


 壁の外からアイリスの声がする。


 恐らく、壁を創った後にすぐに抜け出し、俺をおびき寄せたのだろう。

 俺はまんまとアイリスの策に乗せられてしまったという訳か。


「〈風切(ウィンドカッター)〉!!」


 アイリスは壁を崩しながらこちらに魔法を放つ。

 俺は壁のせいで魔法が見えず、タイミングが見計らえない。


「アイリス...思ったよりセンスがあるな」

「ありがとうございます、ソウタ先生!」

「ま、俺には効かんがな」


 俺は先ほども創ったボラゾンの盾をもう一度〈創造(クリエイション)〉し、危なげなく防いだ。


「!?...傷すら付かないなんて...」

「ダイヤモンドの代用品としても使われるくらいだからな。しかし、アイリス、今の策は良かったぞ。改良を重ねていけば通用していくだろう」

「本当ですか!?」

「ああ、本当だ。これによりアイリス、お前を選抜クラスに招待する。これからも鍛錬に励め」

「・・・は、はい!よろしくお願いします!」


 感極まったようで、アイリスの目には光る物があった。


「しかし、ここまで強いならなぜあの時森で戦わなかったんだ?そこらの下っ端兵よりも強いだろうに」

「いえ、それはそうなんでしょうけど、何故かあの時魔法が使えなかったんです。私の調子が悪かったんですかね」


 いや、調子が悪い程度で魔法が使えなくなるようなことは無いはずだが...

 謎が深まるばかりだな。



 その後も20人以上の試験を行い、夕方になる頃には、俺は精神的に疲れ果てていた。


 Aグループ試験、無事終了。結果選抜クラスの人数は、15人となった。











評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ