桜に魅せられて
入学式の後は簡単なオリエンテーション。
ゲームの中ではなぁ、4択問題のクイズ形式だったから攻略サイトもあったし、成績は常に満点なんだけどな……。
コルソン家の恥にならないレベルのお勉強はしてきているし、大丈夫だとは思うけど不安だなぁ。と思いながら、話を聞いた。
今日はオリエンテーション後は自由な時間だとクラス担当の先生が話していたので、賑やかなクラスをスッと抜けて廊下に出る。
裏庭のね!桜が見たくて。
まだ慣れない学園だけど、ゲームしてたから!裏庭イベントもちゃんと拾ってたから!行き方は分かる。
そう、行き方が分からないと行けない場所なのだ。
だからヒロインと王子は二人きりで会えるのよね。
前世だったら「穴場な花見スポット!」みたいな記事がバズって穴場なはずの場所が全然穴場
じゃないじゃない!ってなりそうだけどね、そういう通信は発達していないからね!穴場はずっと穴場なのよ。
「わぁ……!!」
一人なのに思わず声が溢れる。
一面、満開の桜。
こんな風景、前世でも見たことがなかった。(スチルは除く)
風が少し吹けば、花びらはふわっと宙に舞い上がる。
幻想的で、魔法みたいだ。魔法じゃ……ないのよね?
手を広げて花びらの風を浴びる。気持ちが良い、楽しい。
これが、一年でたった数日しか見れないなんて。
見れないから美しいと思うのかもしれない、けれど同時にとても儚くて切なくて。
少しだけ感情的になりながらも、花見を楽しんでいると、後ろから声がした。
「君は……妖精か?」
「はい?」
びっくりして後ろを振り向くと赤い髪の男子生徒が一人、立っていた。
あれ、見たことあるしそのセリフ何処かで……。
あ。
「王太子殿下!これは大変失礼致しました。」
「今は同じ学園に通う者同士だ。こちらこそ、いきなり声をかけてビックリさせてしまったな。」
「いえ、とんでもございません……。」
ブルーノ・グラハム・キングストン様
この時代の第一王子なんだけど。
アルバート王子にそっくりじゃない……。
あと「妖精かと思った」って、それ、アルバート王子がヒロインに言ったセリフ……。
中身までそっくりなのね。
「名前を訊いてもいいだろうか。」
「名乗るのが遅くなり申し訳ありません。アラベラ・カーラー・コルソンでございます。本日からこちらの学園で学ばせて頂きます。」
「そうか。では同い年ということだな。」
ふわりと笑った王太子殿下こそ、妖精かと思った。
「殿下こそ、妖精のようです。綺麗な赤色の髪と桜がよく似合っております。」
「そう……か?」
「申し訳ありません!初対面で失礼なことを……。」
初対面で相手の容姿を褒めるとか失礼にも程がある。しかも目上の人に……。
「いや、気分を害したわけではない。そんなことを言われたのは初めてだったからな……。」
「そうでしたか……。」
「時に、アラベラ。君には婚約者はいるのか?」
唐突な質問にギョッとする。
え、やっぱりやらかした……?やらかしたから婚約者にチクる感じ……?
「え、えぇ……まぁ。(破棄するつもりではあるけど)」
「それは、少し残念だ。」
「え?」
「だが、もし婚約について困ったことがあれば、言って欲しい。」
「はい……?」
少しまた微笑まれた王太子殿下は、
「アラベラ、また近いうちに会おう。」
と言葉を残して去っていった。
王子のオーラ……凄かった。
乙女ゲームの攻略対象のお祖父様なんだからそりゃ美形なんだけど、何故か私の兄弟も、ダビも、ウィリアム様も美形だから、もしかして美形の方が多い世界なのかもしれないけど、なんかロイヤルオーラって凄い……って思った。
前世に引きずられて語彙力なくなってるけど!仕方ないじゃない!
しばらくして私も裏庭からクラスルームに戻ると、ウィリアム様とダビがクラスルーム前で私を待っていた。
「また後で」って言ってましたもんねぇ……。そうですよねぇ……。




