過去編の不具合 side:M
ミライ視点です。
小さい頃からゲームが大好きだった。
お小遣いは全部ゲームにつぎ込んでいた。
だから、小さいけれど、自社でゲーム開発をしている会社に入れてとても嬉しかった。
けれど、想像以上に過酷な世界で。
辞めたいと何度も思ったけれど、作っているゲームがリリースされるたびに、ネットで「楽しかった。」の書き込みを見かけるたびに、その気持ちは消えていた。
「ウェヌスと共」は特に特に思い入れのあるゲーム。
最期に携わっていたこのゲームは、ライターでもない私が一部シナリオ書くこともあった。
文章が外注の作家より劣るのは仕方ないから、せめて私だけでもキャラの性格をしっかり把握して、そのキャラが好きな人にとって解釈がズレないようにとか、辻褄が合うように努力した。
もうこの頃の私は、ほぼ家に帰ることもなく、ずっと画面と向き合っていた。
「無理するな、休め。」
そう言われたけど、無理してるつもりはなくて、早く私が書いたシナリオを世にリリースしたかった。
次に気が付いた時、私はこの身体で、この世界に存在していた。
あーあ、めっちゃ怒ってるんだろうな、アイツ。
自分の携わったゲームの主人公と同じ名前。同じ見た目。
気が狂ったのかと思った。
けど、全然夢から覚める気配もなくて。
もう開き直って、私はこの世界を楽しむことにした。幸い、ステータスはいじれるので、正直チートな人生。でも、攻略対象外の相手の好感度パラメーターなんてものはないから、妬まれないようにはしてきたつもり。
文字の読み書きが出来るようになってからは、すぐに過去の話を調べるようになった。
魔物によって酷い被害を受けたコルソン家のことが出ていた。
平民の主人公は入学まで、攻略対象たちと会うことがない。だって、住む世界が違う。
だから、攻略対象が存在しているか正直半信半疑だったけど、コルソン家がいて、アラベラが生き残っていることだけは分かった。
多分ゲームルートのままなんだろう。
ゲーム内のキャラは好きだけど、自分にとってはみんな我が子みたいなものだ。
このままゲームルートを進んで誰かと恋して……というのは想像しただけで笑ってしまう。
それよりも、そんな我が子のように思っているキャラの一人、いえ、みんなを救いたい。
入学してからの行動は、決まっていた。
本来だったら、私は過去の入学式前に飛ぶはずだったのに、何故か夏季休暇中に飛んでしまった。
何かのフラグをtrueにするの忘れてたのかな……。
入学式の日に裏庭でブルーノに一目ぼれをされて、生徒会入り。
双子の兄の勧めでアラベラも入り、そこで仲良くなる。
夏季休暇中、魔物がコルソン領地に現れるが、ミライの魔法の力でどうにか防ぐ。
その辺りでウィリアムとアラベラがくっつくんだけど……、幸い魔物はまだ強くないみたいだし、ブルーノのフラグはアラベラが立ててしまったみたい。
うーん、大分ゲームとルートが変わってるし、どうなるかが私も少し読めなくなってきた。
はあ、それにしてもブルーノのフラグを立ててしまったのは少し面倒かも。
ウィリアムとのラブラブぶりを見せつけられて、諦めてくれないかなぁ……。
とりあえず、まずは二人のキスからね。
見たい……けど流石に見せてくれないよねぇ……。




