創造主
「前世でプレイしてくれて、どうもありがとう。私はこのゲームの製作者の一人よ。」
驚いて声も出ない。
私が口をパクパクしていると、ミライ様はその反応に満足したのか、笑いながら話を続ける。
「転生者に私がなるなんて、しかも自分の推しのキャラまで転生者なんてビックリよ。」
「すみません、推しキャラの中身が転生者で……。」
「大丈夫!全然解釈違いじゃないアラベラだから。今でも推せる。」
「な、ならよかったです……製作者の方でも、推しとか、そういう言葉使われるんですね……?」
「うーん、まあそこも人によるかな?私はウィリアラのシナリオに携わったから思い入れみたいなのも強くて……。」
「ウィリアラの、シナリオ……?」
ゲームにアラベラは出てくるけど、ウィリアムは出てこない。
もしかして、私がやりそこねたルートに出てきていたのだろうか。
「んー、実装されたのかは、もう転生しちゃってるから分からないんだけど、アラベラが獄中死するルートで、」
「あれってやっぱり獄中死してるんですか……。」
「ま、まあね……。そこで、リドルに話しかけると、寂しそうに家族の話をするのよね。」
「リドル、出てるんですか?!」
「コルソン家にいくとね会えるの。家族みーんないなくなっちゃった。あの魔物さえ現れなければ、って。」
「みんな……?」
そこでミライ様は言葉を止めた。
少し切なそうな顔で、こっちを見ている。
「辛いと思うんだけど、続けてもいい……?」
「……お願い、します……。」
「わかった。」
そう言うと、ミライ様は、私の手をそっと握ってくれた。
「……コルソン家はね、領地に現れた魔物に、殺されてしまうの。」
「魔物に……。」
「両親がまず狙われて、そして、その敵討ちをしようと双子の兄が。そして、リドルは命は助かったけれど、義兄のウィリアムも。」
「そんな……。」
「妊娠中だった姉は、泣きわめくでも怒るでもなく、静かにおかしくなっていった、と。」
「アラベラは夫だけじゃなくて、他の家族も……。」
「だから年老いたリドルは、決してあの魔物の封印は説かれてはならないんだ。って言うの。」
「ゲームの最後の魔物って……それって。」
「アラベラにとっても敵なのよね。だから、それをヒロインが倒すことによって救われる。そんな風に捉えている人もいたけど。」
でも、次のアップデートでアラベラは根本的に救われるはずだったの、とミライ様は言った。
「リドルの話を聞いた主人公はフラグが立つようにするつもりだったの。愛の魔法を取得しているのが条件なんだけど……そのフラグを立てて、次の週で最初にアーチボルド家に向かったら、過去にいけるっていう……。」
「えぇ?でもミライ様はここにはn週目はないって……。」
「そう!でもね私、このゲームの開発者だったの。」
『デバッグモード』
ミライ様はその言葉を発すると、宙に画面が現れた。
英語?に数字が書かれていてよく分からない。
「私、次のアップデート用の過去編のテスト中に倒れちゃったみたいでさ。そのせいなのか、主人公のステータス、いじれるんだよね。」
「えぇ?!」
「だから愛の魔法の所持フラグをほら、falseからtrueに変えたから持ってるのだし、リドルと喋ることによって立つフラグも立てたし、結のリボンだって……。」
「なる……ほど?」
初めて聞く言葉が混ざっていてよくわからなかったけど、これをいじると、色々なものを変えられるらしい。
「まだ過去編はテストの最中だから不具合があったりするし、意図しない動きをしそうだけど……。まさか過去に飛んだ時に、勝手にオートモード入るとは思わなかったけどね……。」
「記憶を失っていた状態は、オートモードだったんですか……?」
「そうなの。このオートモードの性格作ったの私じゃないからね?」
「あ、はい……。」
「そんな感じで、まだテストプレイ中だったし、ここにきたら何故か夏季休暇終わってるし、アラベラはまだウィリアムとくっついてないし、大分もう色々変わっているんだけど、私は貴女を救うために未来から来ているので、よろしくね!」
「は、はい、よろしくお願いします……!」
色々な話をしてもらって、頭が混乱しそうだったけど、家族のこと……衝撃だった。ウィリアム様だけじゃなかったんだ……。
優しい両親、兄様たち、リドルの顔を思い出す。
未来に進むのが少し怖いけれど、製作者のミライ様も一緒なら、きっと……。
……大丈夫だと、信じたい。
おまけ
ア「あの、この世界のお菓子についてなんですけど……。」
ミ「あーーーそうね、世界観完全無視よね……。もう辻褄合わなくて色々無視したものの一つよ……。」
ア「あ、いえ、あのミニゲーム。」
ミ「!」
ア「制作者の中に甘いもの好きが絶対いる……って思ってたんですけど……。」
ミ「そうなの!私が一番仲良かった同僚のプログラマーがね、色んなお菓子のパターン入れてたの!甘いもの好きなあの人の、唯一の楽しみだったから、止めなかったの……。」
ア「でも、そのお陰で、この世界には私の大好きなみたらし団子があるので嬉しいです。」
ミ「ア、アラベラの好きな食べ物がみたらし団子……。」
ア「もしかして、解釈違いですか……。」
ミ「可愛い。公式プロフィールに採用したい。みたらし団子食べてニコニコしてるイラストとか見たかったぁ……。」




