無縁になったもの
ドジ、どこまでもドジ。
映画のワンシーンのように、自分自身がゆっくりと落ちていく気がした。
ビダーン!と床に思いっきり叩きつけられる音がした。
ひんやりとした床は、当たり前だけど柔らかくはない。
「った……。」
「アラベラ様?!大丈夫ですか?」
真っ青な顔したリタ様が陰から現れた。
「リ、リタ様?!」
「ああ、どうしよう、先生を呼ばないと……。」
「い、い、え、大丈夫です。何ともないので。」
「何とも?!」
「は、はい……。」
嘘ではなくて、落ちた瞬間はとても痛かったけれど、不思議と今は何処も痛くないのだ。
よいしょ、と立ち上がってみたけれど、立ち眩みも、歩きづらさも何もない。
「本当に何処も、痛くないんですか?」
「はい……。」
「一応、保健室に行ったほうが……。」
「そうですね、念のため行ってきます。ご心配をおかけして……。」
「あ、アラベラ様。私、ずっと謝りたくて。……お気づきかと思いますが、ずっと尾行していました。」
「え。」
全然、全然気付かなかった。
「私、本当こういうの初めてで、自分の気持ちが上手くコントール出来ずに、アラベラ様に当たって……すみません。」
「そんな……私こそ、リタ様の気持ちを知りながら、すみません。」
「いえ、アラベラ様が謝ることでは……。」
「いえそんな。」
「いやいや。」
「いえいえ。」
「っふふ。これじゃあ、いつまで経ってもキリがありませんね。」
「ふふ、本当に。」
二人で目を合わせて、笑う。
「仲直りさせてもらっても、いいですか?」
「ええ、それは私からもお願いします。」
握手をして、それから、ポケットに入れていたリボンを渡す。
「ありがとう、ございます。」
「いいえ、こちらこそ。」
「……保健室行きましょうか。」
「はい。」
仲良く笑いながら二人で保健室に行ったものだから、保健室の先生には何か変な魔法をかけられたのでは?!と心配された。
事情を説明すると青ざめた顔で、色々と観てくれた。
「何も、問題ないね。特に異常はなさそう。というか……。」
「というか?」
「何か、防御魔法のようなものをかけられている、みたい。」
「え?」
「結構、高度なものだと思う。心当たりがない?」
「いいえ、全く……。」
「恐らくその防御魔法で、今の君は怪我をしにくい身体になっているんじゃないかな。」
「はあ……。」
「心当たりがないのは不思議だけど、君にとってはプラスのものだから大丈夫だよ。」
保健室の先生はそう言ってにっこりと笑った。
お礼を言って保健室を後にしたものの、心当たりが一切ない私は頭を悩ませる。
「この間は私、怪我したのよねぇ。」
「そうですよね……。」
馬車から降りるのを失敗して、捻挫をした時は確かにずっと痛かった。
少しの間二人で悩んでいたものの、予鈴がなったので、パタパタとお互いのクラスルームへ戻った。
……話さない期間は数日程度ではあったけれど、こうやってまた一緒に話せて嬉しかった。
私は少しニヤつきながら廊下を早歩きした。
今の私なら、色々出来るかもしれない。
一部ページ、誤字修正させていただきました。いつも、ありがとうございます!




