上手くいかない
競技祭が終わって数日。
ダビとも、リタ様とも生徒会で少しお話をするだけ。
今日は生徒会室で、一人でお昼ご飯を食べている。
前学期は楽しかったなぁ、とか思いながら、中々減らないご飯を見つめていた。
コンコン、とノックの音がして、身体をビクッと震わせる。
「おや、アラベラか。」
「……ブルーノ様。ごきげんよう。」
「私も一緒に、いいか?」
「えぇ、どうぞ。」
前のソファに座ったブルーノ様は、まっすぐに私を見ていた。
「あの、お召し上がりにならないんですか?昼食。」
「あ、いや、もう食べたんだ。」
「そ、そうなんですね。」
よく分からないけど、ここは生徒会役員以外は入れないから、
ブルーノ様みたいな方にとっては気が楽な場所なのかもしれないわね。
「何やら、面倒なことになっているみたいだな。」
「ご心配をおかけして、申し訳ありません。」
「アラベラのことが心配になるのは、当たり前だ。」
「ありがとう、ございます。」
頭を下げた後、食べかけのご飯をしまう。
食欲があまり湧かないし……。
「あのミライ、という女子生徒、困ったやつだな。」
「は、はい……。」
あまり思い出したくない人物の名前をあげられて、胸がぎゅっと苦しくなる。
「それにウィリアムも……。」
「いえ、そんな……。」
「こんな素敵な婚約者がいるのに、愛の魔法の女と恋仲になるなんて。」
「へ……?」
「おや、もしかして知らなかったのか?」
「はい……。」
「競技祭の後に、抱き合うのを見たぞ。」
一瞬で背中に冷たいものが走る。
「何か……見間違えたのでは……。」
「いいや、あれは見間違いではな」
「気のせいです!失礼します。」
「あ、アラベラ、だからあいつじゃなくてわた」
ブルーノ様が何か言いかけていたけれど、私は急いで生徒会室を飛び出した。
カツカツと足音を立てて、誰も私に話しかけるなとアピールをして歩く。
聞きたくない。
本当のことだったとしても、そんなことをわざわざ言ってくるブルーノ様は意地悪だ。
私のことが嫌いなのかしら……。
婚約者には別の相手ができて、友達には避けられて、嫌われて、かぁ。
幼馴染の想いには一切気付かない、この鈍感さが悪いんだわ……。
鈍感で許されるのは逆ハーのヒロインだけ。
どんどんと孤立していく。
いつまでも兄に頼るのも情けないし、悔しい。
そんな考え事をしながら階段を降りていたから、また足を踏み外してしまった。




