競技祭のはじまり
今日は競技祭当日。
ダビにも釘を刺されたし、結局あの後、何もしなかった私はもう覚悟を決めた。
授業の体育はいつも以上に気合いれたわよ?持久力勝負だしね私の種目……。
せめて、少しでも気合が入っているように見えるように、ポニーテールにしてもらった。
体育の日はいつもおさげにしてたからね……。それよりは走りやすいんじゃないかしら。
「今日はアラベラ様とお揃いですね!」
ニコニコと笑いながら、同じくポニーテールにしていたリタ様が声をかけてくれた。
「まあ、本当ですわ!」
「今日は、頑張りましょうね!」
「ええ、まずは委員会対抗ですものね!」
「ベラ。それにリタ嬢も、おはよう。」
「ウィ、ウィリアム様。おはようございます。」
「おはようございます。」
珍しく一人のウィリアム様に声をかけられた。
「ベラ、今日はいつも雰囲気が違ってこれはこれで素敵だね。」
「ありがとうございます……。あ、あの。」
「ん?」
「夏季休暇の件は……申し訳ありませんでした、取り乱してしまって。」
「いや、僕こそ……、ベラ、あのね、僕は―」
「ウィル様見つけた!」
ミライ様がウィリアム様の腕に抱きつく様子を見るのは、もはやいつもの光景……。
まあまだ慣れないのだけれど。
「ミライ嬢!君、いい加減にしてくれないか、僕はベラと話して……」
「いえ、お話はこれくらいでしたので。では、今日はお互い頑張りましょうね。」
頭を下げて、そのまま後ろを向いて早足で歩きだす。
後ろからリタ様の「私も失礼致します。」という声が聞こえて、そのまま小走りで横に並んでくれた。
「リタ様、いつも申し訳ありません。」
「いえ、大丈夫です。」
「逃げてばかりで、情けないったら。」
「そんなことありませんよ。私もずっと、逃げてますから。」
「そう、なのですか。」
「でも逃げるが勝ち、なんて言うじゃないですか。時にはそういう選択も大事なんだと思います。」
「……ありがとうございます。リタ様が居なかったら私、今どうしていたのかしら。」
「えへへ、照れちゃいますね。」
少し恥ずかしそうに笑いながらリタ様は「そうだ。」とポケットからごそごそと何かを取り出した。
「これは……リボン?」
「ええ。お姉様がくれたものです。二つあるので、片方はアラベラ様に。」
「まあ……。」
そう言って青色のリボンを私のポニーテールの結び目部分に結んでくれた。
「とてもお似合いです、アラベラ様。」
「私には少し可愛すぎないかしら?」
「そんなことありません。あの、私にもつけていただけませんか?」
「ええ、もちろん。……難しいわね。」
リタ様のポニーテールの結び目部分にリボンを結んだものの、少し不格好になってしまった。
ここで不器用さを発揮してしまった……。
「ごめんなさい、あまり上手くいかなかったかもしれません……。」
「見えないから分かりませんが、きっと大丈夫です!」
謎の根拠をもってリタ様は親指をグッと立てた。
そのリタ様の様子を見て笑っていると、後ろから少し呆れ声のダビが声をかけてきた。
「お前ら本当仲良いな。」
「ダビ!」
「ダビ様。」
「ほら、集合かかってるからとっとと行くぞ。」
「はい!では、アラベラ様、お手をどうぞ。」
手を差し出してくれたリタ様はとても美しくてかっこよくて、リタ様が男だったら惚れてしまうかも……なんて思ってしまった。
「えぇ。」
そんなリタ様の手を取って、生徒会役員の元に走っていった。
案の定、兄様たちに茶化され、かっこよかったリタ様はいつもの可愛らしいリタ様に戻ったのだった。




