離すものか side:W
ウィリアム視点です。
僕の愛しい婚約者。
本人は「目つきが悪くて可愛げのない顔」だなんて言うけど、その力強い瞳はとても美しい。
ベラに言わせるといつもにこにこしている顔、らしいけど、いつも微笑んでいるのではなくて糸目なだけで、見開いた時の目つきの悪さは正直僕の方が悪いと思う……。
「あの、婚約のことなんですが……考え直しませんか?」
こんなこと言われたから、思わず眼を見開いたちゃったけどね。これはベラが悪いよね。
脳裏に一瞬ダビがよぎって、まさかダビのことが好きにでも……?!と思わず聞いてしまった。
よくわからない理由を並べられたが、マンネリなのかもしれない。
婚約をしてから、僕が会いに行って、お茶をして話をして、殆どそれだけ。それを何年も続けていたら流石に飽きたのかもしれない。僕はベラの顔を見れるから飽きるなんてことはないけど。
本当はもっと距離を縮めたかった。手だってずっと握っていたいし、ハグもしたかった。
でも、それ以上も求めてしまいそうで怖かった。一度触ったら二度と離したくなくなりそうで。
でもそんなことを言ってられない。彼女が何か新しさを求めている。
少しずつ、距離を縮めることを彼女に伝えた。
……理解してもらえた気はしないが。
後ろに控えていたクリスに「手強い相手ですね。」と帰りに言われた。
「お前、この事はダビに言うなよ。」
「聞かれてまずいことでしょうか?」
「口を書類止めで閉じてやりたい。」
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「ちちうえ、アラベラとけっこん、したい。」
小さい頃、僕が父上にお願いした時の言葉。
ベラは親同士が決めたものだと思っているようだが、これは小さい頃からの僕の願いだ。
あと、その時にベラにも確認したと聞いたんだけどな……。
「おとうさまにウィリアム様のおうちに行くかい?って、聞かれたから、行ってみたい、ってこたえたの。いつおうかがいすればよろしいですか?」と言われた時は……もうね……。
でもそこで本当の意味を伝えて拒絶されるのが怖かった。
15になった今、僕は父上に再度"お願い"をした。
「アラベラとの婚約を正式なものにして、学園卒業後にはアーチボルド家に迎えたいと思っているのですが。」
父上は「あちらさえ良ければ勿論だ。」と笑ってくれた。そして、少し真剣な顔をして「壊しては駄目だぞ。お前は大切なものに盲目過ぎて壊してしまうところがある。」と言われた。
「それ、いつの話ですか。」
「お気に入りのおもちゃと四六時中過ごして、結局最後一緒に寝て壊して泣いていたじゃないか。」
「かなり前の話ですよね、それ。」
「私にとってはつい昨日のように思える出来事だよ。」
少し遠い目をしている父上に「では、よろしくお願いします。」と念を押して部屋を出た。
もう少しで毎日愛しい人と過ごせる。
早く会いたいな。
この間手を繋いだだけで真っ赤になっていたんだ。
それ以上のことをしたらどんな反応が貰えるか楽しみで仕方がない。




