憂鬱の新学期へ
結局、ウィリアム様に謝ることができずに夏季休暇は終わり、今日からまた学園に戻る。
少しだけ……いや、大分憂鬱な気持ちを抱えながら馬車に乗り込む。
本当は一人で、それかジゼルと二人がよかったんだけど、兄様たちと一緒に向かうことになった。
「今のベラはサボタージュしそうだからな!」
「「サボるなら兄様たちも一緒だ。」」
そんなことを言っていたけど、流石にそんなことはしないわと笑って答えた。
そうね……ウィリアム様には会いたいけど、ミライ様には会いたくないのよね。
二人が話をしているのを見るのが辛い。
私が避ければ避けるほど、二人っきりにさせてしまうのだろうけど、それを考えても苦しいけど。
万が一ウィリアム様がミライ様のことを好きになったら……?
攻略対象ではないウィリアム様だって、ゲームの世界の主人公の力には適わないかもしれない。
愛の魔法だって持っているわけだし……。
でも、愛の魔法って「真実の愛」を手に入れられないと使えないはずよね?
ミライ様は記憶喪失だと言っているけど、過去に真実の愛を手に入れているわけよね。
相手は一体誰なのかしら……。
ぼおっと外を眺めながらそんなことを考えていると、兄様たちが「そうだベラ」と声をかけてきた。
「競技祭、僕たちは二人三脚に出るつもりなんだ。」
「まあ。」
「見ててねベラ、可愛い妹のために僕らは必ず一位になるさ。」
「もう、兄様たちったら。」
ミライ様のことがあってから、兄様たちはいつも以上に私に優しい。
申し訳ないな、と思いながらその優しさに甘えてしまうのだ。
「私は何に出ようかしら……。」
正直、運動は得意じゃない。
その辺りは、前世に引きずられているのではないかと思ってしまう。
前世の私がどんな人だったか覚えていないのに、このゲームに関する記憶は割とハッキリしている辺り、相当このゲームをやり込んで引きこもっていたのではないか、と想像してしまう。
前世の私に失礼過ぎるわ……。
それに、兄様たちと弟は、運動神経良いのよね……。
「「ベラは笑って応援してくれていればそれでいいよ。」」
兄様たちもそれをよく分かっていて、笑顔でさらりと酷いことを言う。
「もう!」と怒ってみたものの、学園に向かう気持ちが少しだけ軽くなった。
兄様たちの活躍、楽しみね。
精一杯応援しないと。




