持つべきものは
思い返すたびに、なんであんなことを言ってしまったんだろう、と苦しくなる。
会って何を言えばいいんだろう。
時間がかかればかかるほど、こういうのってどんどん会いづらくなるものなんだけど……。
ずっと部屋に籠ってしまっている。
ウィリアム様がきても面会謝絶だし、兄弟も申し訳ないけど今は会いたくない。
我儘を言って、食事も部屋に持ってきてもらってる。
これじゃあ家族に会うのも段々辛くなってくるよなぁと思って、三日目。
ジゼルが「アラベラ様、お客様が来ています。」と伝えてくれた。
「ウィリアム様だったら……。」
「いえ、その、リタが来ています。」
「リタ様が?」
「お通ししても大丈夫ですか?」
「え、ええ。」
少し待つとひょこっとリタ様が現れる。
一瞬ミライ様を思い出して、なんとも言えない気持ちになってしまった。
「アラベラ様、突然お邪魔してすみません。」
「いえ、来ていただけて嬉しいわ、リタ様。」
「遊びに来て良いと言っていただいていたので、来てしまいました。」
にこっと笑うリタ様はとても可愛らしかった。
ジゼルが二人分のお茶とお菓子を持ってきてくれたので、私の部屋でちょっとしたお茶会をすることにした。
「アラベラ様、よければお話しを聞かせてもらえませんか?」
「えっ。」
「人に話せば少しは楽になると思いますよ?」
「……うん。」
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「そんなことがあったんですね。」
「もう、自分の行動に情けなくて。」
今回は泣かずにちゃんと話ができた。
リタ様は私のことをまっすぐに見て、話を聞いてくれた。
「きっと、そういうものですよ。……私も少しだけ、アラベラ様に妬いてしまうことがあります。」
「そ、そうなんですね、ごめんなさい、私ったら……。」
「いえ、これはアラベラ様が謝るようなことは何もないです。でも、恋というのは頭で理解していても、心では処理できないものなんだろうなあと思います。」
最近分かったばかりのことですけどね、とリタ様は照れながら言った。
「だから、それはウィリアム様をとても大好きな証拠じゃないですか!」
「でも、ウィリアム様に嫌われたかもしれないわ……。」
「ウィリアム様はとてもアラベラ様のことを好いています。そんなことで揺らぐわけないですよ!」
自信満々のリタ様を見て、少し笑ってしまった。
「ありがとうございます、リタ様。」
「いいえ。少しは元気になりました?」
「ええ。晩御飯はちゃんと皆で食べようと思うくらいには。リタ様も一緒に。」
「えっ?!いや、私はその……。」
「是非、食べていって頂戴、リタ。」
「お姉様?!」
「ジゼル!」
「申し訳ありません、立ち聞きしてしまいました。リタ、貴方さえよければ。」
「あぅ……ご家族のなかに……は、はい、食べます……。」
「よかった!」
少し泡を吹いて倒れちゃうんじゃないかと心配したけれど、リタ様はどうにか持ちこたえて参加を表明してくれた。
数日ぶりに晩御飯に顔を出したから少し照れ臭かったけど、家族は温かく迎えてくれたし、リタ様もいるし、とても心地が良かった。
まだウィリアム様とお話しする度胸はないけど、少しずつ、少しずつでいいんだよね。




