↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
37/74

何気ない時間

馬車から降りるのを失敗した私は、足を捻挫してしまった。

学園で軽く手当てをしたあと、リタ様とダビが心配だからと家まで一緒に付き添ってくれた。


「本当にごめんなさい……。」

「気にするな、そんな日ある。」

「ええ。私たちも体調崩してましたし、そんな日なんですよ。」


二人が今日はいつも以上に優しくて、少し泣きそうになってしまった。

馬車が家に到着すると、ジゼルが出迎えてくれた。


「お帰りなさいま……リタ?」

「お姉様!」

「どうしたの?」

「アラベラ様が捻挫されて、私とダビ様、心配だったので付き添いを……。」


「アラベラ様が?!」

「ああ、ジゼル、大丈夫。本当ちょっと捻っただけだから。一人でも歩けるの。」


ジゼルがとても心配そうな顔でこちらを見ている。

久しぶりの姉妹再会をこのような形にしてしまったのは申し訳ない……。


ウィリアム様は兄様たちとお茶をしているとのことだったので、私たち三人もその部屋まで案内してもらった。


「ベラ!」

「ウィリアム様、兄様たち、ただ今戻りましたわ。」

「「ベラ、おかえり」」

「おや、ダビと、」

「リタ嬢もいらっしゃい。」


「おおおお邪魔します!」

「あ、あの、二人は私のために……わっ。」


ウィリアム様と兄様たちに報告しようと部屋に入ろうとしたら、足をもつれさせて転びそうになった。

転びそうになっただけ、なのは後ろにいたダビが見事に私を抱きとめていたから。

ため息混じりにダビが声をかけてくれる。


「大丈夫かよまじで。」

「ああ、ごめんなさい、ダビ。」

「アラベラ、馬車降りる時に足を捻ったみたいなんだ。」

「そ、そそうなんです、それで私たち心配で……。」


「ベラ……!」

立ち上がって駆け寄ってきたウィリアム様にダビが「ほら。」と私を渡す。物じゃないんだから。

私を受け取ったウィリアム様は私をそっと抱きしめる。


「ごめんね……一緒に帰ればよかったね……。」

「い、いえいえこれは本当に考えごとをしていた私の不注意でしたので……。」

「考えごと?」


「ああ、アラベラ様、馬車の中で少し顔色悪くしてらして……。」

「なんかちょっと嫌なこと思い出したって言ってたな。」

「ふ、二人とも!そんな細かく説明しなくても……。」


ウィリアム様がこうやって優しいのも、フリなの……?

また嫌なことを思い出してしまった。

やり場のない両手は空に浮いたままだったけど、片手だけ、ウィリアム様の背中に少し触れた。


「ベラ……もしかしてあいつ(ブルーノ)が……。」

「ああ、違うんです、本当。」


ブルーノ様を今から刺して来そうな声だったので慌てて止める。

そこに兄様たちも加勢してくれた。


「ほらほら、ベラ怖がってるから。」

「そこまでな、ウィリアム。」


「っ……ごめんね……。」

「大丈夫です、心配して下さってありがとうございます。」


身体が離れると、ウィリアム様はそっと頬を撫でて、「足、無理したら駄目だよ。」と微笑んでくれた。


「ダビとリタ嬢も、ありがとう。二人とも体調はどう?」

「この通り元気だぜ。」

「私もです、お気遣いありがとうございます。」

「ならよかった。」


二人の様子をみてウィリアム様だけじゃなくて、兄様たちもほっとした顔をしていた。


「ところで、そろそろディナーの時間だけど。」

「食べていくかい?」


「僕は帰るよ。」

「俺も。」

「わ、わ私も……。」


仕方ないことだけど、三人に一気に断られる様子を見るのは少し寂しい。


「じゃあまたの機会に。」

「おおベラ、悲しまないで。」

「「僕たちがいるじゃないか!」」


「楽しい兄たちで飽きなくてよかったな……。」


ダビが苦笑しながら言った。


「これが、兄様たちの素敵なところよ。」

「ちょっと、兄バカじゃないか……?」

「こらこらダビ、何を言うんだ。」

「「僕らはとても素敵だろう?」」

「あーうるさい!俺を間に挟んで喋るな!」


そんな兄様たちとダビのやり取りを、ずっとこんな風に過ごせたらいいのにな、とぼんやりと見ていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。