Bの宣戦布告 side:W
ウィリアム視点です。
今日は図書委員の仕事の日。
あの日から図書委員の仕事をしていても、あまり声をかけられなくなった。
もし声をかけられたとしても、あの半数がベラに水をかけた連中かと思うと、僕はそいつらを泥水にでも沈ませてしまうかもしれない。
ダビに「この件はアーミルとアーロンも知っているから、お前まで何かやったらオーバーキルで逆に咎められそうだ。」と止められているので、僕とベラに関わってこない限り何もするつもりはないが。
「ウィリアム。」
貸出記録のチェックをしていると、声をかけられた。
赤い髪の、凛とした態度の男子生徒。
久しぶりだけど、これだけで誰かは分かる。
「……ブルーノ。」
「久しぶりだな。」
「そうだね。」
小さい頃によく遊んでいた相手。
ここ数年もたまに会っていたけど、会話という会話をしたのはかなり久しぶりかもしれない。
「お前は……ウィリアムだったな。」
「生まれてからずっと、ウィリアムだけど。」
何が言いたいのかよく分からないブルーノに、首を傾げる。
「そうだよな、アラベラの婚約者の、ウィリアム。」
「……僕の婚約者が、いつも生徒会でお世話になっています。」
「しかし、変だな。もしお前が正式に婚約していたら、私にだって連絡が届くはずだ。」
わざとらしく、ブルーノは手を顎に当てる。
確かに、僕とベラは正式に婚約をしていない。
親に了承を得ていても、お互いが決めていても、愛の日……12の月の4週目の金曜日にウェヌス像の元で誓いを立てないと、正式な婚約とは認められない。
別にそんなことをしなくても結婚は出来る。平民の殆どは誓いを立てていないと聞く。
しかし貴族というものは、そういう儀式も大事にするのだ。
そして、その誓いを僕が立てていれば、アーチボルド家は必ず王族に報告をするだろう。それは、ブルーノの耳にも届くはず。
「この冬に、正式なものになるさ。」
「それまでは、私にもチャンスはあるということか。」
「あるわけがない。」
即答した僕を見て、本当にアラベラは愛されているな、とブルーノはクックッと笑う。
「そうだと、いいな。」
そう言い残して、ブルーノはどこかに消えた。
……ああは言ったものの、僕は何処か不安があった。
僕がベラを好きことには揺らぎがない。
でも、ベラが他の人を好きになったら?
しかも相手が国の王子だったら、誰が止めるだろう。
そんな未来は、絶対に許さない。
僕以外が彼女の隣にいるくらいなら、いっそ…………。
片手に持っていた貸出記録のメモがぐしゃりと、音を立てた。




